中国人から熱いラブコールを受けながら、中国での販売に消極的な日本企業はたくさんいます。

その理由でよく聞くのは『中国はすぐにパクって偽物やコピーを作る。』という話です。

たしかに中国では偽物品が多いです。北京の秀水街などコピーブランド品専門の市場もあります。せっかく苦労して開発した自社製品が、簡単にコピーされ格安で販売されるのは到底許せないものです。

しかし、だからといって日本市場に留まり巨大な中国市場を避けつづけるのは企業として本当に正しい選択なのでしょうか?

 
 

中国のコピー品は2タイプ

ひと口にコピー品と言っても、中国では2タイプに分かれています。

タイプ1:低グレードコピー品

いわゆるバッタもん(パチモン)品のことで表面的なところだけ模倣して作った製品です。使用している素材、原料、部品自体が粗悪品であり素人でも見分けることが可能です。このようなバッタもんのターゲット顧客は偽物でも安ければよいと考える人達です。

タイプ2:高グレードコピー品

素材や原料を含めてオリジナルを真似た本格的な偽物品です。例えばアップルのiPhoneをコピーした小米(Xiaomi)などが該当します。
材料や部材の調達、デザイン、性能までを忠実にコピーし高性能の製品を作るので、コピーする側にも多額の費用と時間の投入が不可欠となります。

中国で自社製品を販売する日本企業にとって注意が必要なのは、低グレードコピー品より高グレードコピー品です。

なぜなら低グレードコピー品の消費者はそもそも正規品(本物)を購入する購買力を持っていない場合がほとんどだからです。

しかし、高グレードコピー品は自社製品のターゲット顧客とバッティングする場合が多く業績に大きな影響を与えます。

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見方を変えると魅力的な中国市場

コピーが怖いから13億9,008万人の中国巨大市場との関わりを拒絶するのは非常にもったいない事です。

有名な『アフリカに靴を売りにいった営業マンの話※1』にあるように、見方を変えれば中国はビジネスチャンスに満ち溢れています。

大事なのはコピー製品が出てくることを前提とした対策です。

ある日本のメーカーは、自社のニセモノ商品が中国で大量に出回っているのを知り、中国でこれだけ偽ブランドが浸透しているのなら本物の製品も絶対に売れると考えて中国に進出したそうです。

また、偽物ブランドをわざわざ購入して分析をおこない、どのように安く作っているか研究して自社製品にフィードバックする企業もいます。

中小企業であってもコピー品が出る事を前提に負けない対策ができれば中国市場で成功することは十分可能です。

たくましく商売する日本企業がもっと増えて欲しいと思います。

※1.アフリカに靴を売りにいった営業マンの話
靴を売る営業マン2人が市場調査をしにアフリカへ行きました。靴を履く習慣がなく裸足で生活しているアフリカ人を見て、一人の営業マンは、会社に「アフリカ人は靴を履いていないので市場はありません。」と報告しました。しかし、もう一人の営業マンは「アフリカ人は誰も靴を履いていないので、市場は無限大です!」と報告しました。見方を変えるだけでビジネスチャンスに気づくことができます。大切なのは物事を決めつけない事です。

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コピー製品に対抗する4つの方法

➀新製品の開発スピードを上げていく

コピー品を製造するメーカーのほとんどは新製品開発のノウハウや技術力を持ち合わせていません。

高グレードコピー品を作るには多くの時間と投資が必要となります。

頻繁に新製品やモデルチェンジされる製品は、コピーをする側にとって負担が大きく採算がとれず途中で息切れする場合があります。、

➁簡単にコピーできない機能を盛り込む

通常コピー品は汎用品の原材料や部品を使用して作られます。製品の特徴や性能をきめる重要部分に特注の原材料や部材を使用することで簡単にコピーができないようになります。
※機械・装置などは不正な使用をすると動かなくなるソフトウエアを組み込んでおくのも有効です。

➂製品以外のサービスを充実させる

サポートセンター設置、サンプル提供、会員への品質保証や無償修理対応など製品以外のサービスを充実させることで、ユーザーに正規品を購入する方がメリットあると認識してもらえるようになります。またブランドの価値を高めることができるためコピー品との差別化がはかれます。

➃コピー対策のノウハウを持った中国パートナーを使う

変化の激しい中国市場の監視する能力があり、コピー品が見つかり次第、中国政府の監督部門に摘発を依頼してくれるような中国パートナーを見つけることができればコピー品の蔓延を防ぐことができます。

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