日本では、食品の安全性確保のために、食品の生産から販売にいたるまでの各段階において、事業者が自覚と責任感をもって、安全な食品の供給に努めることが求められております。
参照:厚生労働省の輸入加工食品の自主管理に関する指針(ガイドライン)

かつて、ニュースで大きく取り上げられた輸入食品事件が2つあります。

一つは、2008年、ジェイティフーズ(株)が販売していた河北省天洋食品の冷凍餃子に有毒農薬が混入していた事件。もう一つが、2014年、上海福喜食品が、賞味期限切れの鶏肉を日本マクドナルドに納入していた事件です。

このような事件が再発しないよう、日本では、食品の輸入審査を厳しくしており、必要に応じて抜き取り検査が行われます。

もし、税関で商品が基準外と判断されると、輸入者は、自己の責任で貨物を輸出国に戻すか、国内で燻蒸処理や廃棄処理をする必要があります。これをREJECTION(官による処分)と言います。

しかも、輸入違反となった企業は、厚生労働省のサイト上で社名入りで公表されるので企業ブランドを損うことになります。輸入違反者リスト

輸入者のリスクを減らす3つの方法

海外から食品や食材を輸入する場合、メーカーの品質管理体制を十分に確かめずに輸入すると、日本の税関でREJECTIONされて、輸入者が大きな損失を被ることがあります。

初めて食品を輸入する方は、以下3つの方法で、REJECTIONによる損失リスクを減らすことができます。

1.税関に事前確認する

食品を輸入する前に、輸入予定港を管轄する税関に連絡し、輸入する食品の内容を伝えて、通関時に必要な書類、検査項目を確認します。

事前に注意点を教えてもらえるのでREJECTIONされるリスクを減らすことができます。また、輸入関税率の確認も行えます。

2.食品メーカーと事前協議する

契約締結前にメーカーとREJECTIONになった場合の対処方法と費用負担について確認をしておきます。

サンプル品質は、問題なくても、大量に輸入すると虫が混入していたり、基準値以上の薬品が検出されREJECTIONされる場合があります。

この場合、契約書などで、REJECTION時の費用負担等を取り決めをしておくことで、不測の事態が発生しても損失を最小限に抑える事ができます。

ただし、いくら取り決めていても、実際にREJECTIONを受けたときに、メーカーが約束通り対処してくれるとは限りません。よって、食品輸入の契約では、納品確認後の代金支払いの割合をできるだけ多くするように交渉することをお勧めします。

3.海上保険にREJECTIONの特約を付ける

年間ある程度の食品を輸入する場合は、REJECTION保険をかけることをお勧めします。

通常の海上保険において、REJECTIONの損失は、補償対象外ですが、商品概要や年間輸送額など、保険会社が要求する資料を提出すれば、海上保険にREJECTION特約を追加してくれる場合があります。
※REJECTION特約の保険料率は、貨物の内容やREJECTIONの発生率、発生時の必要費用、該当貨物の輸送量等の様々な要素を勘案して保険会社が決定します。

※補足:納入後に消費者に対し損害を与えた場合には、電機製品と同じくPL保険での対応となります。なお、輸入した貨物を基に作成された商品の損失への対応には特約が必要です。また、店頭に並んだ商品の回収費用等を対象とした、リコール保険が存在しております。

以上