今年は7月の西日本豪雨から始まり、例年よりも強力な台風がいくつも日本列島に襲来し各地に多くの爪痕を残していきました。罹災した方々には心よりお見舞い申し上げます。

さて、この度重なる天災を受けて、今「輸出FOB保険」が注目されています。

以前もこのブログで紹介していますが、輸出FOB保険とは、輸出においてFOBやCFR等の買主側が保険を手配する貿易条件の場合に、船積み前すなわち危険負担が売主から買主に移転する前に起きた事故に備えるための保険です。

なぜ輸出FOB保険が今注目されているのか

先日の台風21号では大阪、神戸の港湾が多くの被害を受けました。関西国際空港の水没をニュースで見た方も多いのではないでしょうか。これらの事故による貨物の損害は甚大であり、現在も保険会社による損害査定が続けられていますが、中には対応できる保険が付保されていなかったため、保険の補償が受けられないというケースも報告されています。それは、FOBやCFRの輸出貨物で輸出FOB保険を手配していなかったというのが理由です。

一般的には輸出するまでの数日間の国内輸送や保管で想定される事故は、交通事故等の運送人の責任による事故が多く、売主が貨物保険を手配していなくても運送業者に対する損害賠償請求で補償されるケースが大半です。

ですが、今回のような台風等の天災では運送人は免責とされるケースが多く、運送人に対する損害賠償請求ができません。売主は損害を受けた貨物の代金をどこにも請求する事が出来ないという状況になります。

近年の極端な気象現象を考えると、今後も今年のように複数の強力な台風の襲来が想定され、輸出FOB保険を付保していなかったために損害を被った荷主のみなさんが、現在この保険の手配を真剣に検討しているという状況です。

輸出FOBが必要となる貿易条件はどれ?

輸出FOBが必要となるのは、11ある貿易条件の内、FOB,CFR,FCA,CPT,FASの5つです。それぞれの危険負担の移転のタイミングは以下の通りです。

FOB:貨物が買主手配の本船上に置かれたとき

CFR:貨物が売主手配の本船上に置かれたとき

FCA:貨物が買主指定の運送人に引渡されたとき

CPT:貨物が売主指定の運送人に引渡されたとき

FAS:貨物が指定された本船の側に置かれたとき

これら5つの条件で輸出を行っている、または今後輸出を検討している皆様の中で、貨物の危険負担移転までの間について何か気になることがありましたら、ぜひ双日インシュアランス株式会社までご相談ください。