突然ですが皆さんは、どんぐりを食べたことありますか?日本でどんぐりを採って食べる人はほとんどいませんが、お隣の中国や韓国は、今も健康食材として食べており、特にどんぐり粉の入った韓国冷麺は独特の触感があり人気です。実は、縄文時代の日本人もどんぐり食べていたそうです。

どんぐり粉を作るには、まず長期間、どんぐりを天日干しして乾燥させる必要があります。その後で皮を剥いて粉砕します。手作業が多く手間がかかるので日本で製造すると価格が高くなります。よって、ビジネスとしてどんぐり製品を使用する場合は、安定供給ができる中国または韓国から輸入するしかありません。

どんぐり粉を日本に輸入するのに必要な4つのこと

その1:調達価格の調査

ビジネスとして食品原料を調達する以上、価格が合わなければ輸入しても意味がありません。どんな食品原料を輸入する場合でも、まずは調達価格を調べる必要があります。

最初にやることは、食品のサプライヤーに販売価格を確認することです。もし御社が輸入経験がないのであれば、FOB価格よりもCIF価格で契約を結ぶことをお勧めします。国際貿易経験があるサプライヤ―であれば、CIF価格⁽日本の港または空港までの運送費と保険料を含んだ価格)で見積りしてくれます。

CIF日本港の価格が明確になったら、輸入関税、消費税、検疫等検査費用、国内運送費を加えて調達価格の概算を把握します。ここで重要なのが輸入関税の確認です。なぜなら食品原料は、高い輸入関税が取られる場合があるからです。

輸入関税の料率を調べるには、HSコードと呼ばれる国際的に共通の商品コードを確認する必要があります。HSコードは中国サプライヤーに聞けば教えてくれますが国際貿易経験がないサプライヤーは適当なHSコードを言ってくることがあるので注意が必要です。初めての取引の場合は、面倒でもご自身で税関に確認することをおすすめします。

ちなみに、どんぐり粉の場合、税関の話では、どんぐりの実を乾燥して粉末にしたものなら、HSコードは230800000(植物性副産物)に分類され無税になる可能性が高いそうです。
ただし、どんぐりから澱粉を抽出した製品は、HSコード:1108190000(澱粉類)となり、1キログラム119円も関税がかかります。

最終判断は成分表や製造工程表などに基づいて日本の税関が判断するので、もし不安がある場合は税関に事前に必要書類を提出し調査を依頼しておきましょう。

その2:税関手続きの確認

調達価格の把握が終わったら、税関手続きの確認です。CIF契約の場合、中国での製品積込みや輸出手続きは中国サプライヤーが手配してくれますが、日本に到着してからの輸入通関手続きは荷主である輸入者側が行う必要があります。食料品原料の場合は、インボイスやパッキングリストなどの通常の輸入通関書類の他に、成分表、製造工程表が必要となるので輸入前に税関への提出書類を確認しておきましょう。

その3:検疫所の確認

非放射線殺菌証明書

税関への提出書類が明確になったら、次は検疫所の手続きを確認します。販売目的で食料品を輸入する場合、食品衛生法第27条により、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に、食品等輸入届出書、原材料または成分表、製造工程説明書などを届け出る必要があります。また、中国から食品を輸入する場合は、非放射線滅菌証明書の提出が必要です。この証明書には指定フォームはありません。放射線を使った処理を行っていない事が確認できる内容できれば大丈夫です。

提出書類および検査に問題がなければ、検疫所から「食品等輸入届出済証」が発行されるので、税関の輸入申告書類と共に提出します。万が一、検疫所で輸入不適合の判断がされた場合は、輸入者の費用負担で中国に送り返すか、もしくは日本で焼却破棄することになります。しかも輸入違反となった企業は、厚生労働省のサイト上で社名入りで公表されるので注意が必要です。輸入違反者リスト

どんぐり粉を輸入する場合、おそらく保税倉庫でサンプル抜き取りサイクラシン酸と呼ばれる人工甘味料の検査になる可能性が高いそうです。検査をするかしないか?するならどんな検査をするのかは検疫所の担当官が決めます。検査が必要となれば、輸入者自らが専門検査業者を見つけて検査業務を発注する必要があります。検査費用について検査業者に電話したところ、サイクラシン酸検査は1回あたり約2万円だそうです。この検査費用に検査員の移動交通費5千円~1万円が必要となるため、輸入者が支払う合計金額は約3万円。検査に要する期間はおおよそ1週間前後かかります。

また、食品原料の輸入では、前述の厚生労働省の検疫以外に、農林水産省植物防疫所への確認も必要です。農林水産省は病害虫の付着などの検疫を行います。植物防疫所での検査の結果、もし輸入しようとする食品原料に病害虫等の付着が判明した場合、輸入者は、消毒、駆除、廃棄等を行わなければならなりません。なお、土が付いたものは輸入不可です。
どんぐり粉の場合は、サラサラに乾燥した粉末状で密封された袋に入れられていれば目視検査で大丈夫だろうとのことです。

※補足
・検疫所への書類提出は、貨物が到着する7日前から提出可能ですが、それより前の提出は原則不可です。ただし、輸入相談窓口がありそこに書類を送れば1カ月ほどで輸入できそうか否か判断してくれます。

貿易未経験者が食品輸入できるか?

食品の輸入する場合は、サプライヤーから必要書類を提出してもらったり、関税率を調べたり、検疫所での検査を行ったりいろいろと手続きが必要です。初心者が自分で輸入手続きを行うのはリスクが高いと言えます。専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

野生どんぐり粉(どんぐりパウダー)