インコタームズは、貨物の運送リスクや運送費用負担を売手と買手どちらが負担するか明確にするためのルールであり、海外企業と商品の取引を行うとき必ず取り決めておく必要があります。

2020年1月1日、これまで使われていたインコタームズ2010が改定されインコタームズ 2020(INCOTERMS 2020)が発効されました。

従来と同じ11の貿易規則(ルール)が定義されていますが、特に注意が必要なのは、CIP(Carriage and Insurance Paid To/輸送費保険込み条件)取引において売主は、オールリスクをカバーする協会貨物約款A=ICC(A)に準拠した保険を付さなければならなくなった事です。ちなみにCIF(Cost Insurance and Freight=運賃保険料込み条件)取引は、従来通り貨物約款C=ICC(C)の保険で大丈夫です。

また、DAT(Delivered At Terminal/ターミナル持込渡し条件)が廃止され、DPU(Delivered At Place Unloaded/荷降ろし込み持ち込み渡し)が追加されたことも注意が必要です。

文章だと分かり難いので貨物の引渡し場所危険負担費用負担について、売主と買主のどちらが責任を負うのか、色分けをした図を作成しました。下のボタンをクリックすれば無料でダウンロードできます。

インコタームズ使用上の注意

インコタームズは、民間団体であるICC(国際商業会議所/International Chamber of Commerce)が策定しており、国連や国家間の条約や法律やではありません。

よって、契約当事者間が合意していれば、旧バージョンのインコタームズを採用したり貿易条件の解釈を変更しても問題ありません。

初めての取引相手に見積書を送ったり契約書を締結する場合、「FCA JAPAN」というような曖昧な書き方ではリスクがあります。

FCA , ABC CORP,1-2-3,XXXX,TOKYO,JAPANと具体的な引渡し場所を明記し、注記欄には、The trade term “FCA“ shall be interpreted in accordance with INCOTERMS(R) 2020 (訳:貿易条件FCAは、インコタームズ2020により解釈されるものとする。)と明記することをお勧めします。