海外進出のチャンス到来

なかなか需要が伸びない国内市場から飛び出し、自社の工業製品を直接海外向けに販売していく企業が増えております。昔は、輸出ビジネスをするには、海外に自前の拠点を持つことが重要でしたが、インタネットと国際物流の発達により、わざわざリスクを負って海外進出しなくても、国内で業務をコントロールする方が、利益を出せる場合があります。

国内から海外企業と直接契約をする場合、多かれ少なかれ相手への与信で不安を感じるものです。全額前金払いで輸送代も相手が負担してくれれば良いですが、実際の契約は当事者同士の力関係と交渉力で決まるので、こちらの言い分を相手が受け入れるとは限りません。ほとんどの契約では、輸出者も何らかのリスクを背負う事になります。

ギャンブル的なビジネスは厳禁です

顔も知らない相手だが、会社のホームページもしっかりしているし、コミュニケーションも問題なくできている。少しリスクがあるが、恐らく大丈夫だろうと信じて海外と取引している企業もいらっしゃいます。

傍から見ると危なそうに見えても、国際ビジネス経験が豊富な企業は、危険を察知する嗅覚?がかなり優れており、あえて細かい契約事項を決めずスピード感を持って次から次へとビジネスを作っていきます。しかし、海外ビジネスの経験が乏しい企業が、安易に真似るのは非常に危険です。

ロシアンルーレットのように根拠のない運まかせのビジネスを続けていると必ず痛い目に合います。損失が少額であれば勉強代になりますが、失敗すると経営的に致命的な影響がでるような取引の場合は、必ずリスクを減らす方法を講じておく必要があります。相手と交渉してリスクが減らせればベストですが、それが無理な場合は、自分で減らすしかありません。そして、その為に利用するのが保険です。

保険は、上手に利用すれば安い費用でリスクを減らせます。しかも、代金回収の心配が和らぐので、個人事業主などの経営者にとっては精神衛生上にも非常に良いです。

貿易取引で使う3つの保険について

貿易保険で使う保険は、以下3種類があります。

➀ 貨物海上保険

外航貨物海上保険とも呼ばれており、輸送中の貨物の物的損失をてん補する保険です。海外輸出では、自社がどこまで輸送責任(危険負担ともいいます)を負うのか十分理解しておく必要があります。もし、輸送責任範囲における保険を掛け忘れたら、事故による損失を自腹で負担することになります。よって、貨物海上保険の基礎知識は、輸出者として必ず知っておく必要があります。

➁ 製造物賠償責任保険(PL保険)

製造業者が販売した製品の欠陥により、ユーザーの生命や身体に怪我を負わたり、財産上の損失を出した場合の損害をてん補します。輸入販売を行っている業者も製造業者と見なされ責任を負う場合があるので、取引する製品によっては製造に直接関わってなくても付保が必要です。

➂ 貿易保険

代金回収が出来ない状況に陥った時の損失をてん補してくれる保険です。保険引受基準があるので、保険料さえ払えば必ず使えるわけではありません。しかし、金額が大きな案件を取り扱う時は、一度検討する事をお勧めします。この保険は、株式会社日本貿易保険(NEXI)が取り扱っております。※一部民間もあります。