輸入時の税金計算は課税価格がベースになります

外国貨物を我が国に輸入する場合、原則として、関税・消費税・地方消費税等を支払う必要があります。関税の計算は、まず課税価格と呼ばれるベース価格を計算して、製品ごとに決められている関税率をかけて計算します。課税価格は、一般の輸入取引の場合は輸入港での価格(CIF価格)を指します。ただし委託加工貿易などでは無償提供品も課税価格に加算される場合があるので注意が必要です。

課税価格の計算方法

課税価格=現実支払価格+加算要素

現実支払価格とは、実際に支払う外国貨物の価格の事です。関税定率法によると以下のように定義されております。

関税定率法 第四条
現実支払価格とは、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格

次に加算要素ですが、これは現実支払価格(実際に支払う外国貨物の価格)以外で輸入者が支払った費用です。代表的な加算要素は、輸入港までの運送関連費用(保険料を含む)です。よって、課税価格は、通常CIF価格、または保険料を払ってない場合はCFR価格になります。

しかし、この加算要素には、輸送関連費用だけではなく、買い手が負担する手数料や、買い手が無償提供した材料、工具、技術、部品、役務の費用なども含まれており注意が必要です。

例えば、中国からプラスチックの加工製品をCIF価格100万円で輸入したとします。もし、この製品を作るにあたって自社にあった50万円の金型を無償で中国に提供し製品を作らせていたのであれば、課税価格は、CIF価格の100万円に無償提供の金型代50万円が加算され合計150万円になります。

実際に、中国から衣類品を輸入していた業者が、日本から無償提供していた生地や副素材を含めずに納税申告を行い、後日、申告漏れが発覚し追徴課税を取られた例もあります。輸入取引をする方は、是非一度、関税定率法の第四条を見ておく事をお勧めします。

関税、消費税、地方消費税の計算方法

課税価格が決まったら税額が計算可能です。計算にあたっては手順があります。まず①関税を算出し、関税額をベースに②消費税を計算、最後に③地方消費税を出します。

①関税の計算方法

関税=課税価格×関税率
※課税価格は1,000円未満を切り捨てます。
※関税は100円未満を切り捨てます。

②消費税の計算方法

次に消費税ですが、これは課税価格に関税を足した価格に6.3%を乗じて計算します。
消費税=(課税価格+関税)×6.3%
※消費税は100円未満を切り捨てます。
※酒税等の個別消費税額があればそれも関税と一緒に加えて計算します。

③地方消費税の計算方法

最後に地方消費税ですが、これは先ほど計算した②消費税額に17/63を乗じて計算します。地方消費税の料率が17/63と割り切れない数字になっておりますが、消費税と地方消費税を足すと約8%になります。
地方消費税=消費税×17÷63
※地方消費税は100円未満を切り捨てます。

関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第四条

関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第四条
(課税価格の決定の原則)

第四条 輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、次項本文の規定の適用がある場合を除き、当該輸入貨物に係る輸入取引(買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有しない者であるものを除く。以下同じ。)がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格(輸出国において輸出の際に軽減又は払戻しを受けるべき関税その他の公課を除くものとする。)に、その含まれていない限度において次に掲げる運賃等の額を加えた価格(以下「取引価格」という。)とする。

一 当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用(次条及び第四条の三第二項において「輸入港までの運賃等」という。)
二 当該輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料又は費用のうち次に掲げるもの
イ 仲介料その他の手数料(買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く。)
ロ 当該輸入貨物の容器(当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。)の費用
ハ 当該輸入貨物の包装に要する費用

三 当該輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務のうち次に掲げるものに要する費用
イ 当該輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの
ロ 当該輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型又はこれらに類するもの
ハ 当該輸入貨物の生産の過程で消費された物品
ニ 技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務で政令で定めるもの