エバー航空のストライキ

2019年6月20日、台湾の大手航空会社であるエバー(長栄)航空のCA(客室乗務員)達が、旅費日当の引き上げなど待遇改善を求めてストライキを決行しました。

当初すぐに収束すると思われていましたが労使交渉が長引き、事態が終結したのはスト発生から20日目となる7月10日でした。※エバー航空の運航が完全に正常化するのは7月末になる見込み。

今回のストライキは、1500以上の飛行機が欠航し30万人以上の旅客に影響をあたえ台湾史上最大の航空麻痺を引き起こしました。エバー航空の営業損失は、30億元(日本円で約100億円)を超えると見込まれています。

ストにより飛べなくなったエバー航空の飛行機(台湾空港)

ストライキの補償範囲は?

搭乗予定だった飛行機がストライキを起こし欠航したら航空会社は旅客に対してどのように補償してくれるのでしょうか?

旅客の立場から考えるとストライキは航空会社内部の問題であり、巻き込まれた旅客に対しては、それ相応の手厚い補償をすべきように思えます。

しかしストライキによる欠航は、大地震・異常気象・戦争・暴動と同じ航空会社が管理不能な事象(不可抗力)に該当するとみなされるため、旅客に対する補償は限定的です。

具体的に言うと航空会社は、旅客に対して代替便へ無料変更するか、航空券の未使用部分に対する運賃及び料金を払い戻しをするだけです。欠航により旅客が追加負担した費用は原則補償してくれません。

今回のエバー航空ストライキでは、代替便が当初予定より6時間を超えて変更になる場合には、遅延が原因で発生した食事台・宿泊費・交通費などを250米ドル(約26,800円)を上限に補償することが表明されました。しかし、航空券の払い戻しに関しては、航空券の未使用部分に対する運賃及び料金を返金するだけでした。

航空券(チケット)購入時の注意点

航空会社の労使関係は、外部の人はなかなか分からないものです。今回ストライキを起こしたエバー航空は全日空(ANA)と共同運行している台湾の大手航空会社でありビジネス出張者にも人気の航空会社でした。

ストライキは航空会社の規模や業績に関係なく発生するということを十分に意識しておく必要があります。とくに重要な商用で出張をする方は、航空券の購入にあたって以下の点に注意することをおすすめします。

1.事前に情報収取する

利用予定の航空会社にストライキの噂はないか事前に確認します。海外の航空会社の場合、現地に住んでいる知り合いから直接情報をとるのが最も確かです。もし、現地に知り合いがいない場合は、大手旅行代理店に問い合わせます。

2.価格だけで購入しない

欠航が発生すると代替便への変更や航空代金の払い戻しなどいろいろな事務処理を素早く確実におこなう必要があります。一部のインターネット販売専門の旅行代理店は、電話応対サービスが著しく劣っており、ナビダイヤル(有料通話)にもかかわらず長いガイダンスのあと順番待ちで長時間待たされることがあります。ビジネスなど大事な用件で航空券を購入する場合は、価格だけで決めずに不測の事態に素早く応対してくれる会社から購入することをおすすめします。※航空会社のサイトから直接購入することもおすすめです。

3.搭乗日が近くなったら検索する

多くのストライキは、突然発生するものではなく事前に噂がながれます。搭乗日が近づいてきたら航空券を購入した旅行代理店や航空会社にストライキ情報の有無を確認するとともに、自身のパソコンで「航空会社名␣ストライキ情報』で検索して再確認します。

ストライキにあった場合の対処法

不運にもストライキによる欠航にあってしまったら、すぐに航空券を購入した旅行代理店または航空会社に連絡を取り状況を確認します。

もし航空会社が代替便の用意しているのであれば、その場で予約変更を依頼します。代替便がない場合は、チケット代金の払い戻しをしてもらう必要があります。払い戻し額、提出が必要な書類と提出先、払い戻し期限などをしっかり確認しましょう。

ストライキによる航空券の払い戻しは、航空会社が正式に欠航を発表しないかぎり応じてくれないということです。他の航空会社のチケットを購入する場合は、欠航になっていることを確認してから行いましょう!