たった35日でマスク生産量が14.5倍に!

5月21日付け中国人民網の記事によると、

1月25日、日産800万枚だった中国のマスク生産量は、35日後の2月29日に約14.5倍日産1億1600万枚になりました。

また、中国から輸出されたマスクは、3月1日から4月4日で38.6億枚、4月5日から4月30日が239.4億枚となり、2ヶ月合計で278億枚に達しました。

この輸出量は昨年の世界マスク総生産量の約3倍に相当すると言わています。

なぜ中国はマスクを急に増産できたの?

なぜ中国は、驚異的なスピードでマスク増産をすることが出来たのでしょうか?

マスク産業に新規参入した中国の最大手電気自動車メーカーBYD(比亚迪)社の動きを見るとよくわかります。

BYD社が一部の工場でマスク生産をする決定したのは、新型コロナウイルスで武漢市が封鎖されてわずか約1週間後の1月31日です。

そこから超ピッチで生産ラインを立ち上げ、半月後の2月17日には量産をスタート、3月12日には日産500万枚、12日後には日産1000万枚、4月下旬には日産2000万枚に達し、あっという間に世界一のマスク製造メーカーになりました。

BYDが世界一のマスクメーカーになった理由

大量にマスクを製造するには、広大なクリーン作業場、全自動生産設備、優れた品質管理システム、そして経験豊富な技術者が必要です。

もともと電気自動車メーカーであったBYDは、これら必要条件の全てを持っていました。

まず、クリーン作業場ですが、携帯電話部品を製造していた深セン竜崗区の巨大工場を使うことができました。この工場はクリーン度を満たしていただけでなく、品質管理のノウハウも持っていました。

次に生産設備ですが、BYDは自動車メーカーとして様々な精密部品を自社で設計製造できる能力がありました。

よって、マスク生産ラインで必要となるギア、チェーン、ローラーなどの機械部品を素早く作ることができました。

尚、今回マスク生産ライン立ち上げにあたってBYDは、3000人を超えるエンジニアを24時間交代で動員し、3日間で400枚以上の生産ライン設計図面を書き、7日間で生産ラインを作り上げたとのことです。

今、中国では、BYD以外にも広州汽車、上海通用五菱、格力電器、雅戈爾など多くの大手製造企業がマスク製造に参入しています。

日本のマスクの新規参入メーカー

一方、日本のマスク生産状況はどうでしょうか?

日本では、ユニチャームや興和などが国内でマスクを製造していましたが、新規参入したメーカーとして有名なのはシャープです。

シャープは、2月28日に日本政府の要請に応じてマスクの生産を決定しました。

生産スタートしたのは3月24日からで、生産量は日産15万枚、今後最大で日産50万枚まで増産する予定です。

全く新しい商品を約1カ月で生産することは凄い事です。

しかし、中国のBYDは、約半月で生産立ち上げ生産量も40倍なのです。

「中国はたくさん作っても品質が問題では?」という人もいますが、BYD社のマスク生産ラインは、全ての材料を入庫時に紫外線消毒殺菌しており、医療用レベルとのことです。

最近、新しくマスク事業を立ち上げたいという日本企業様が増えていますが、日本でしかない素材やデザインで勝負しない限り、中国企業との価格競争に巻き込まれてしまう可能性が高そうです。