海外プレゼンでよくある失敗例

御社のプレゼン、独りよがりになってませんか?
私は、工業製品や装置専門の海外営業として、さまざまなメーカー様と一緒に海外でプレゼンをしてきました。プレゼン資料の書き方は、メーカー様によってさまざまです。

商品の魅力がしっかり伝わるプレゼンをされるメーカー様もあれば、せっかくの素晴らしい技術が聞いている人に伝わり難いと思われるプレゼンもあります。良いプレゼンかどうかは、お客様を見ればすぐに分かります。全員が真っすぐにモニターのプレゼン資料を見つめているからです。

逆に駄目なプレゼンも良く分かります。みんな興味のない顔をしていて、ボーとモニターを見ていたり、配布資料をパラパラめくっていたり、なかには欠伸をしている場合もあります。

工業製品の良いプレゼン資料とは?

工業製品のプレゼン資料で、お客様が引き込まれていたプレゼン資料とは、どんなものでしょうか?フォント・色・配置を完璧にしている資料でしょうか?答えはNOです!

工業製品のプレゼン資料は、何と言っても中身(=記載内容の質)が重要です。逆に中身さえしっかりしていれば、少々体裁が悪くても問題はありません。工業製品は、技術を売っているですから!

ただし、注意が必要な事が一つあります。中身を重視するあまり、製品の仕様を細かく書き過ぎないということです。
特に、思い入れが強い製品ほど、お客様に伝えたいことが多くなり、こまかい記述が多くなりがちです。

プレゼン資料の役割は、お客様に製品の魅力を伝えることです。
細かな技術的内容は、別途仕様書を送って説明するようにし、プレゼンの時は、アピールしたい技術だけを絞ったシンプルな資料作りを心がけましょう。

プレゼン資料をより魅力にする3つのポイント

同じ内容を記載する場合でも、書き方一つでお客様の印象は全く異なります。より、魅力的なプレゼンにするための3つのポイントをお教えします。この3つをおさえて書くと、お客様のリアクションは格段に良くなります。

1.具体的な数字で伝える!

言葉で書くのではなく、具体的な数字で書く方が、お客様は記憶に残ります。特に他社より優れているところやアピールしたいところは、数字で書きましょう。

例:
×豊富な実績 ⇒ 〇累計販売数:●●●台!
×良く優れた生産技術を保有しています。⇒ 〇精度●●ミクロンの加工技術を持ってます!
×クリーンルームでの品質管理体制。⇒ 〇クラス●●●のクリーンルーム環境で100%目視検査!

2.画像で伝える!

技術力はできるだけ画像で伝えましょう。言葉で説明するよりも実際に画像を見る方が、お客様は安心します。
また、画像を見る事でより具体的な技術打合せも可能です。最近は、簡単に画像編集ができるので、機密のところはモザイクをかけることができます。また、動画を使うのも効果的です。

プレゼンに入れると良い画像:
製品写真、サンプル写真、動作画像など

3.実績を書く

書かないメーカー様が大多数ですが、できるだけ書くようすすめています。何故なら、その製品が一定の基準を満たしている事を証明する何よりの証拠になるからです。
海外のお客様は、国内のお客様以上に実績を気にします。そして、購入を決める重要な要素になる場合があります。
もし、御社の製品が国内の大手企業に実績があるのであれば、ぜひ伝えた方が良いです。
実績の顧客名までかけると良いですが、開示が難しいようであれば、国内大手A社様にxxx台などの書き方でも大丈夫です。

最後に:おすすめしないプレゼン構成

比較的規模の大きなメーカー様やオーナー企業様で、ときどき見かけるのですが、会社の歴史からスタートして、各部署の紹介 、そして最後に製品紹介といったプレゼンがあります。

こういったプレゼン資料は、それなりの知識を持った人が作っておられる場合が多く、フォント・色・配置も考えられており、投資家や経営者向けにはとても良い資料だと思います。しかし、技術的な商談の時にも同じプレゼン資料を使うのはどうかと思います。

通常、海外のプレゼンで使える時間は、15分~30分程度しかありません。その後は、具体的な質疑応答です。限られた時間のなかでは、やはり製品紹介を優先させ、時間があったら会社紹介をする方がビジネスとしては正解です。