海外向け送料着払い発送のリスクについて知ってますか?

国内において、送料着払い発送は、通信販売の商品返品やメーカーのリコールなどでよく使われている発送手段ですが、海外向けの宅配便でも同じサービスが利用できます。

国内の場合は、送料着払い発送する前に相手に事前了承をとっておけば、まず問題はおきません。万が一、荷受人が送料の支払いを拒絶したとしても、宅配業者は商品は渡さないので、トラブルが起きたとしてもせいぜい運送代の数百円~数千円程度の損失で済みます。
(※宅配業者に事前登録された企業の場合は、運賃後払いの場合もあります。)

しかし、海外向けに小包を発送する場合は、同じ感覚で送料着払いを利用するのは危険です。
理由は、海外の場合トラブルが起きても相手と連絡をとるのが容易でないからです。しかも、海外発送の場合は、運送費だけでなく、関税まで入ってくるため、場合によっては数万円~数十万円の損失を被る可能性もあります。

荷受人の状況によっては、送料着払いを利用せずに、自分で運送費を全て支払う判断をする必要があります。

国内宅急便と海外宅配便の送料着払いの2つの違いについて

1.アカウント番号がないと海外では送料着払いはできません

国内の宅急便は、着払伝票に必要事項を記入すれば、誰に対しても送料着払い発送が可能です。しかし、海外向けは、海外宅配業者のアカウント(専用口座)を持っている相手でないと、送料着払い発送はできません。

因みに、送料着払い発送を取り扱っているのは、DHL、FEDEX、UPSなどの国際貨物航空会社でだけであり、日本郵便がサービスを提供しているEMS(国際スピード郵便)や日系運送業者は、発送人が運送費を支払う元払いしか利用できません。

2.荷物が先に届き、後から運送費が請求されます

輸出経験があっても知らない人がいるのですが、通常、送料着払いで送られた製品は、アカウントを持っている荷受人に先に荷物を届き、後から運送費の請求書が送られます。国際貨物航空会社はスピードが勝負なのである意味仕方ない事かもしれません。
しかし、この後日請求により、ときどき発生するのが請求額のトラブルです。海外のお客によっては、関税を甘く考えていたり、知識が乏しかったりする場合があり、後日請求された関税を見て驚き、最悪は支払いを拒否してくる場合があります。

国際貨物航空会社は、荷受人から関税を含む運送費の支払い拒絶を受けると当然、取り立てを行いますが、どうしても回収が出来ない場合は、発送人に請求がいくことになります。私の知り合いでも請求が来た人がいます。十分気を付けましょう。

送料着払い発送でのトラブルを防ぐための方法

1.荷受人のアカウント照会をしましょう

送料着払い発送サービスをやっている国際貨物航空会社では、荷受人のアカウント照会サービスを提供してます。アカウント番号を伝えると、登録してある客先名、住所が正しいか確認してくれ、アカウントの有効性も教えてくれます。
新しい取引先に送料着払いで発送する場合は、必ずアカウント照会をしましょう。

2.事前に関税等を相手が認識しているか確認しましょう

初めての取引相手の場合は、関税の事は大丈夫か事前に確認しましょう。可能であれば、輸出する製品のHSコードを、日本の税関で聞いて相手に教えてあげると関税の調査がしやすくなります。
もし、相手の知識が非常に乏しく、関税の事を理解していない様子であれば、面倒でも自分で関税を調べて、契約をDDP(仕向地持ち込み渡し・関税込み条件)に切り替え、送料と関税をこちらで全て負担する方が安全です。

海外宅配便の着払い発送リスクを理解して、無駄な損失を出さないように注意しましょう。