最近、IT関連の業務や翻訳などの語学力を要する業務、ロゴやイラスト等のデザインの分野などで、クラウドソーシングを利用することが一般的になってきました。中小企業にとっては自社に不足するスキルを補う意味でクラウドソーシングの活用は大変有効であると思われます。またその活用によって海外向けのマーケティングにおいてもポジティブな効果が大いに期待できるので、今回ここではそのメリットについて考えてみたいと思います。

クラウドワーカーを使う3つのメリット

1.料金が安い

まず第一のメリットとして、仕事の単価が安いことが挙げられます。クラウドソーシングを通じた仕事の受託者の多くはフリーランサーであり、彼らは基本的に個人で活動しているため、企業が通常組織の運営のため価格に含める大きな利潤や管理費を必要としない、という特徴があります。また、フリーランスの中には自分自身のプロモーションの意味で仕事を請け負う、または仕事を請け負い実戦の中で自らのスキル向上を図りたいと考える、そのような人たちも多くいるので、その場合の価格はかなり低く抑えられる傾向にあります。更には仕事の委託者は入札のような形でどのフリーランスに仕事を委託するかを決定できるので、これも価格が安くなる理由となっています。

2.作業の納期が短い

何らかの仕事を企業に委託する場合と比べ、多くのケースで仕事は短納期で完成します。それは恐らくフリーランスの
•仕事の時間を選ばない。つまり、土日でも夜間でも作業する
•自分の得意な仕事を請け負うことが多いので、作業が早い
•自己裁量で仕事を請け負うので、従来の企業内で行うような上司への報連相のようなものに時間を使わない
という特徴が大きく影響していることと思われます。
例えば、2週間程度の納期を見込んでいた仕事が一晩で仕上がってくるようなケースも多々あります。

3.対応可能なスキルの範囲が広い

今日、仕事のバリエーションは非常に多岐に渡っており、もし企業がある仕事をどこかの業者に委託しようと考えた場合、真に適切な業者を選定することは容易ではありません。その場合、多くは既に知っている業者の中から選定しようとしますが、それらの業者がその仕事に本当に適するかどうかについては、常に定かというわけではありません。また、自ら新しい業者を探す試みにも相当な労力が伴います。その点、クラウドソーシングは委託者の望む細分化された仕事に対して全国のフリーランスが応募する仕組みを採用しているので、適切な仕事の受託者が見つかる可能性が高いのです。
フリーランスと言っても、彼らが高度な技術やノウハウを持った企業の従業員又はそのOBである場合、委託者にとってはその高度な技術などを活用できるメリットもあります。

4.打ち合わせに時間がかからない

仕事を従来の業者に委託する際、担当者をつかまえ面談のアポを取るなど、その仕事に関する打ち合わせをするまでに時間を要するケースがあります。その点、クラウドソーシングであればフリーランスとオンライン上でいつでも対話形式にて打ち合わせの機会が持てるため、通常、仕事の着手にまでに時間を要しません。
またフリーランスが「その仕事を受けるか受けないか」「いくらで仕事をするか」もフリーランス自身がその場で判断するので、業者に仕事を委託する際にしばしば見られるような「帰って検討します」「後日、見積もりをお送りします」のような展開にはなりにくいことがクラウドソーシングの特徴です。

5.書面でのやりとりの簡略化

通常の企業間取引は1件の仕事につき、
•見積書の作成と送付
•注文書の作成と送付
•請求書の作成と送付
•銀行を通じた送金
など様々な手続きを要しますが、クラウドソーシングのサービスにおいてはこれらのうちの大部分が自動化されているので、委託者・受託者の両者とも手続きの簡略化のメリットを享受することができます。

まとめ

最近では個別具体的な仕事だけではなく、個人によるアドバイスやスキルを時間単位で売買するためのウェブサービスも増えてきています。労働力人口の減少は日本全体の問題ではありますが、クラウドソーシングのようなサービスの発展は、その問題の解決策の一つとなる可能性を秘めています。何より、上述したメリットのうちいくつかでも享受できるようであれば、中小企業にとって業務を進める上での新たな選択肢となるでしょう。