台湾には2つの言語があります
台湾で仕事をしていると地域によって、台湾人が話す言葉が違うことに気づきます。
台北や桃園、新竹など台湾北部では、いわゆる普通の中国語(※台湾では国語(guó yǔ)と言います。)が話されています。中国語を学んだ人なら十分聴き取れます。
しかし、台湾中南部の台中、台南や高雄に行くと街の人たちが話している言葉が理解できなくなります。
理由は、台語(tái yǔ)と呼ばれる台湾独自の言葉で話しているからです。
台語は、中国語の方言の一つであり、福建省南部で話されていた閩南語(Bân-lâm-gú、Hokkien)から派生し、独自の発展を遂げた言語です。
台語と国語(普通中国語)では、発音において大きな違いがあります。よって中国大陸から来た人達は、台語が理解できません。
台湾政府の行政院文化建設委員会の調査によると、台語を話せる人は、台湾国民全体の74.5%、国語(普通の中国語)を話せる人は、ほぼ100%です。
なぜ台湾には2種類(台語と国語)の言語が存在するの?
台湾で2種類の言語が使われる理由には歴史的背景があります。
台語(tái yǔ)のルーツ
大昔、台湾はフィリピン、マレーシア、インドネシアに住んでいると人と同じような人種が住んでいる島でした。
中国人が本格的に移り住んできたのは、17世紀からであり、大部分が福建省からの移民でした。彼らが話していた言葉が、閩南語(mǐn nán yǔ)であり、現在の台語のルーツです。
国語(普通中国語)のルーツ
台湾は、1895年から1945年まで日本が占領して統治してました。
しかし、太平洋戦争に敗れた日本は、1945年9月2日にポツダム宣言に調印し、台湾から出ていきます。
GHQ(連合国最高司令官総司令部)は、統治者が居なくなった台湾を、蔣介石率いる中国国民党政権(中華民国)に任せる決定を行いました。同年10月25日の光復式典により台湾は、中華民国に編入されました。
その後、中国では国共内戦がおこり、中華民国を統治していた蒋介石率いる中国国民党が毛沢東率いる中国共産党との戦いに敗れます。
1949年の12月7日、中国国民党は、中華民国の首都を南京から台湾の台北に遷都します。
この時、中国大陸にいた大勢の国民党の人たちたちが台北に移り住みました。
台湾の新しい統治者となった国民党の人たちの出身地はバラバラであり、台湾で使われていた方言、福建省の閩南語(mǐn nán yǔ)でなく、普通話(pǔ tōng huà)と呼ばれる標準中国語を使いました。
これにより、台湾では、台語と国語の2つの言語が存在するようになったのです。
因みに、日本から台湾行きの飛行機に乗ると、機内放送は、台語と国語の2つの言葉で放送します。
ぜひ、耳をすまして言葉の違いを体感してみてください。
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