アーミッシュ(AMISH)と呼ばれる人をご存知ですか?
アメリカ、ペンシルベニアでの商談が予定より早く終わり時間を持て余していると、訪問していた米企業の担当者が、近くのアーミッシュの居住区に連れて行ってくれました。日本人では、アーミッシュを知らない人も多いと思いますが、彼らは、近代の文明器具を使わず昔の生活を守っている人たちです。
アーミッシュとはどんな人達か?
アーミッシュは、キリストを信仰しており、もともとは、ドイツ周辺でひっそりと暮らしてましたが、洗礼のやり方などで異端者として厳しい迫害を受けて、18世紀、当時のアメリカ、ペンシルベニア州の領主であったウィリアム・ペンの庇護の下、多くのアーミッシュがアメリカ大陸東海岸に移住してきました。
アーミッシュは、農耕や牧畜などをしながら、今でも移民当時の生活様式を守り続けており、携帯電話、テレビなど家電製品は使わず、移動は自転車か馬車です。
実際にアーミッシュの馬車が、乗用車に混じって信号待ちをしており驚きました。※写真の赤丸がアーミッシュの馬車です。
アーミッシュの農場のそばを車で通ったとき、黒い服(アーミッシュの正装)を着た男性が、大きな馬に鉄の鍬を引かせて畑を耕しているところを見ることが出来ました。鉄の鍬の後ろには、小さな子供がちょこんと乗っており、小さな白い手で、一本一本、穀物の苗を植えていました。
その姿は、まるで映画のワンシーンのようでとても印象的でした。
本当は車を降りて、彼らの写真を撮りたかったのですが、アーミッシュの人達は、面白半分に写真をとられるのを嫌うという事で車から見るだけになりました。
アーミッシュの人達と地元のアメリカ人の関係
ペンシルベニア在住の運転手さんにアーミッシュの人について聞いてみたら、とても平和的な人達とのことでした。
男性は、黒いズボンと白いシャツにサスペンダーと帽子、下顎にだけ髭を生やし、女性は、質素なドレスを来ているので、一目で分かるそうです。
また、アーミッシュが家を建てたり修理する時は、周りのアーミッシュ達が集まって手伝うと教えてくれました。
アーミッシュの子育て
アーミッシュの子供達は、コミュニティの中で厳格な規律に従って育てられるそうです。
16歳になるとルムシュブリンガ(Rumspringa)と呼ばれる時間が設けられており、その間は、アーミッシュの規律から解放されて、禁止されていたロック音楽を聞いたり、お酒を飲んだり、車にのったり、煙草も吸う事ができます。
そして、自由を十分満喫し、社会をひと通り経験した後、自己の判断で洗礼を受けてアーミッシュの教会に正式に入るか、そのまま俗世間で暮らすか決めるそうです。
もちろん、教会に入れば、せっかく取得した車の免許証は返還し、馬車の生活に戻ることなります。
アーミッシュを出て、普通のアメリカ人として生活する道を選ぶと、規律のない自由な生活を得ることができますが、家族だけでなくアーミッシュのコミュニティからも絶縁されるため、ルムシュブリンガのあと、ほとんどの若者はアーミッシュに戻るそうです。
平和主義のアーミッシュ
アーミッシュは、非暴力主義を貫いており訴訟すら行わないそうです。
2006年10月、ペンシルベニア州ランカスター郡で、アーミッシュの学校に男性が乱入し、銃を発砲し5人のアーミッシュの少女が命を落とす痛ましい事件がありました。
犠牲となった少女の一人は、自分より年下の生徒をかばおうと、銃を持った男性に対し「私を撃ってもいいから、他の子は、開放して!」と訴えたといいます。
何の罪もない子供たちの命を奪われたアーミッシュ達は、深い悲しみのなか、自殺した犯人に怒りの言葉をぶつけるのではなく、犯人の家族に訪問して、許している事をつたえ、また遺族の一部は、亡くなった子どもの葬儀にも招いたそうです。
やられたらやり返すのが当たり前の世の中で、アーミッシュの平和主義は徹底しており、とても驚かされます。
アーミッシュを見た感想
世の中には、ビジネスで成功し、プール付きの家に住み、ブランドの衣装を身に着け、高級車に乗っている人がいます。
その一方で、アーミッシュのように、厳しい規律の中で質素で平和に生きようとしている人達もいます。
どちらの生き方が幸せかは、実際に体験しない事には分かりませんが、それぞれの生き方を尊重しているアメリカは、やはり偉大だと感じます。
最近のトランプ大統領の発言を聞いていると、自由の国アメリカが少しずつ崩壊しているような気がします。
今回、アーミッシュという人達の存在を目のあたりにして、いつまでも自由の国アメリカであって欲しいと思いました。
追記:
本ブログを読んで、アーミッシュをもっと知りたいと思った方は、アーミッシュの紹介動画をYOUTUBEで見ることが出来ます。英語ですが画像だけ見るだけでイメージできると思います。
また、ハリソンフォード主演のWITNESS(目撃者)で殺人現場の目撃をし事件に巻き込まれる少年と母親が、アーミッシュの人達だそうです。