中国国務院の中国交通運輸発展白書によると、中国政府は、第13次五カ年計画(2016-20年)期間中、人口300万人以上の都市に対して、都市鉄道網(地下鉄・高架鉄道など)の構築を加速させる目標を掲げています。

すでに中国各地で都市鉄道プロジェクトが実行されており、2017年には、河北省石家庄と吉林省長春で新しく地下鉄が開通しました。現在、中国で都市鉄道を運営しているは35都市であり、その総延長距離は、5,000kmの大台を超えています。

データー参照元:前瞻产业研究院

増え続ける中国の都市鉄道

日本国内で都市鉄道を運営しているのは、13都市(東京・大阪・名古屋・札幌・横浜・神戸・京都・福岡・北九州・仙台・広島・さいたま、沖縄)です。

中国35都市が、地下鉄や高架鉄道を運営しているということは、日本人から見ると多いように感じます。

しかし、約14億人が暮らす中国にとって35都市は、まだスタート地点なのかもしれません。

現在、中国には、661の都市(内訳:直轄市4、地級市283、県級市374)が存在していますが、そのうち人口300万人以上の都市は、180都市もあるのです。

国土交通省の資料『都市鉄道の現状』によると、平成22年の日本の都市鉄道営業距離は、東京・名古屋・大阪の3大都市合計で4,940kmです。(内訳:東京圏2,459km、名古屋圏977km、大阪圏1,504km)

政府目標を実現するのであれば、180都市-35都市、つまり残り145都市に都市鉄道を構築する必要があるのです。

仮に各都市に100kmの都市鉄道を敷設するとしても、その総距離は、145都市×100km=14,500Kmになります。

東京・名古屋・大阪の都市鉄道の総営業距離が約5,000kmですので、中国には、少なく見積もって日本3大都市の3倍以上の都市鉄道需要があるということになります。

中国の鉄道設備産業は、今後数年は、忙しくなるのは間違いなさそうです。

ただ、忙しこことと儲かることは、別問題です。

なぜなら、都市鉄道は、収益だけでなく、都市の経済発展をサポートする社会的な役割が強いからです。

中国の多くの都市路線は、市民の移動および都市経済の発展という公共サービスに重点を置いており、中国全土で運行している地下鉄の90%が赤字路線と言われております。

中国の地方政府は、投資した鉄道交通から、どうやって収益を上げていく難題をかかえています。

以上