2018年5月30日、李克強国務院総理は、国務院常務会議を開催し、7月1日より日用生活用品の輸入関税を大幅に引き下げる決定をしました。

昨年末には、粉ミルクの関税率を20%から0%、乳幼児用紙おむつを7.5%から0%に引き下げましたが、今回の減税は、訪日中国人に人気が高い化粧品、家電製品が対象となります。

中国の国民にとって、海外の日用生活用品が、安い値段で手に入ることは良い事です。

しかし、日本製品を扱っているソーシャルバイヤーと呼ばれる人達にとっては、今回のニュースは、嬉しいとは言えないかもしれません。

転売で稼ぐソーシャルバイヤー

ソーシャルバイヤーは、中国で代購(Dàigòu)業者と呼ばれております。
彼らは中国国内の消費者が必要としている日本の商品を代理で購入し、WeChat(日本でいうLINE)などSNSツールやオークションサイトを使って中国市場で転売します。

一時期、新聞やニュースで中国人の爆買いが話題となりましたが、一つの商品を一人で何個も買い占めている中国人は、ソーシャルバイヤー関係者である可能性が高いです。

人から頼まれたものを買うだけの単純なビジネスが成り立つ背景には、中国の高い輸入税が関係してます。

中国では、海外製品を輸入するときに、関税(税率は品目ごとに異なる)と増値税(税率は、17%、11%、6%の3種類)を支払う必要があります。
また、特定の嗜好品や贅沢品の場合は、贅沢税(税率は3~45%)が追加徴収されます。

正規のルートで海外から製品を輸入すると、輸入業者は、上述の輸入税を支払う必要があります。
輸送手数料などを加えると、製品によっては、日本の市場価格の2倍以上で売らなければ利益が出ない場合があります。

一方、ソーシャルバイヤーの多くは、日本で直接買い付けを行い、個人用途としてハンドキャリーをしたり、国際郵便で送ったりして各種輸入税の支払いを回避して中国に持ち込みます。
そして、中国のSNSやオークションサイトなどを使って転売します。

個人用途で中国に持ち込める量は限られており、手間と費用はかかりますが、高額な輸入税の支払いが回避できるため、良い商材を見つければビジネスとして成り立つと言われています。

しかし、今回のように輸入関税が大幅に下がると、ソーシャルバイヤーの価格優位性が失われてしまいます。

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中国政府が関税を下げた意図とは?

中国の調査データーによると、2016年に中国人が1年間で海外で買い物をした金額は、2000億ドル(約21兆7800億円)でした。

仮にソーシャルバイヤーが買い物をした金額が、全体の1%としても、20億ドル(2100億円)という大きな金額です。中国政府にとって、ソーシャルバイヤーによる輸入税回避は、看過できない問題だと言えます。

今回の関税引合い下げは、表向きには、多様化する中国国民の消費需要を満たすためと発表していますが、本当の狙いは、輸入税を回避するソーシャルバイヤーを締め出し、輸入ライセンスを持った企業による正規輸入を増加させて、安定的な税収を確保することにあるのかもしれません。

7月1日から始まる新しい輸入関税率

品目旧平均輸入関税率新平均輸入関税率
服装品(靴や帽子)15.9%7.1%
台所用品15.9%7.1%
スポーツ用品15.9%7.1%
フィットネス用品15.9%7.1%
家電(洗濯機や冷蔵庫など)20.5%8.0%
養殖・捕獲水産品など加工食品15.2%6.9%
ミネラルウォーター15.2%6.9%
洗濯用品8.4%2.9%
スキンケア、美容用品など化粧品8.4%2.9%
健康医薬品類8.4%2.9%