米国の制裁内容に比べると、穏やかに見える中国の対抗措置

4月1日、中国政府は、アメリカの中国製品に対する輸入制裁に対抗し、米国産の食品や一部鉄鋼製品など128品目に対して、15%または25%の報復関税をかける決定を行いました。このニュースだけ聞くと米中貿易戦争突入かと思ってしまいますが、中国の制裁品目を見ると米国経済に与えるダメージは非常に限定的であることが分かります。

中国の対米輸入制裁品目について

中国政府が対米措置として取り決めた128品目の内訳

今回、米国トランプ政権が、輸入規制対象とした中国製品は、鉄鋼やアルミニウム関連1,300品目、総額で500億ドル~600億ドル(約5兆3,100億円~約6兆3,800億円)であり、中国経済にとっては相当ダメージがある制裁です。もし、本気で米国と戦うのであれば、果物やナット(ナッツ)など貿易額が少ない製品でなく、米国にとって重要な貿易製品である大豆やトウモロコシを対象にしたはずです。

今後の行方を非常に心配している米国の大豆農家

中国の環球網4月3日付け記事「制裁美国大豆这个“杀手锏” 中国为何迟迟不用?」によると、米国にとって中国は、大豆の最大の買い手であり、米国から輸出される大豆の64%が中国向けです。米国大豆輸出委員会が最近発表した報告書では、もし中国が米国産大豆に輸入制裁を行うと、米国の中国向け大豆価格は71%暴落すると予測されており、トランプ政権の重要な支持者である農場主に直接影響をあたえます。

なぜ、中国は大豆を制裁対象に加えなかったのか?

中国商務部研究員国際市場研究所副所長の話によると、『大豆は、対米貿易制裁におけるヘビー級の武器であると認識しているが、大豆の輸入制限という切り札は、傷敵一千、自損八百であり、米国だけでなく自国も傷つく。』とのコメントです。

つまり、中国は、米国大豆の輸入制裁に踏み切れば、中国国内の大豆供給不足を引き起こすのです。もちろん大豆の代替品や米国以外の国からの輸入で補うこともできますが、短期的には大豆価格の高騰は、避けられず、飼料価格が値上りし、最悪はインフレを引き起こし中国経済全体にダメージを与える可能性があります。

中国にとっては、大豆という攻撃力の高い武器は、実際に使うのではなく、ちらつかせて威嚇用として力を発揮させるのが最も効果的です。『不戦而屈人之兵』、つまり、戦わず屈服させる兵こそが、一番良い選択なのです。今回の128品目の報復関税の意図は、報復というよりは、米国に貿易戦争になることの深刻な結果を認識させ、米中経済貿易関係を正常な軌道に戻す事にあるようです。