アピール重視のアジアメーカーと真面目な日本メーカー

日本メーカー様、海外メーカー様、それぞれのプレゼン資料をたくさん見てきました。
最近は、日本でも、すばらしいプレゼン資料を作るメーカーが増えてきましたが、総じて日本メーカーのプレゼン資料は、技術者好みの書き方です。

一方、海外メーカ―様(特に新興のアジア系メーカー)のプレゼン資料は、アピール重視のプレゼンが多く、技術者が見たら思わず突っ込みたく内容を平気で書いてきます。

例えば、全く同じ性能の電子部品製造装置を日本メーカーとアジアの新興メーカーが作ったとします。生産量を重視するお客さん向けに、それぞれがプレゼン資料を作ったらこうなります。

日本メーカーのプレゼン:

この装置は、24時間に5,000個生産できます。
※Yield Rate (歩留まり):95%
※オペレーターのメンテナンス時間も含みます。

実際の工場で使った場合を想定した、技術者向けのとても親切な書き方です。

では、積極的なアジア新興メーカーが同じ装置のプレゼン資料を作ったらどうなるか?以前、このようなメーカーを見たことがあります。

新興アジアメーカーのプレゼン:

この装置は、24時間に最高8,000個生産できます。
※Yield Rate(歩留まり):80~95%
※オペレーターのメンテナンス時間は含みません。

まったく同じ装置でも、伝え方を変えるだけで別の装置のように思えます。
どちらのプレゼンが正解かではなく、誰に対してプレゼンするのか考える事が重要!

技術者としては、製品の性能や仕様を正確に伝えたいという思いはあります。
しかし、忙しい経営者や技術に疎い購買が見た時に、印象に残るのは、アジアの新興メーカーのプレゼンです。そして、注文の最終判断は、そんな忙しい経営者や技術に疎い購買がする場合が多くあります。

ときどき、お客様から聞いた海外メーカーの性能が、技術的にあり得ないと思うことがあります。そうした時、その海外メーカーのプレゼン資料を見せてもらうと良いとこだけを上手に伝えている場合があります。

日本の技術者にとって、このようなプレゼン資料を作るのは、抵抗が強く、プライドが許さないかもしれません。しかし、海外ビジネスでは、上述のようなプレゼン資料を作る海外メーカーと戦っているということは常に意識おく必要があります。