トップ画像は、日本の古い家屋のように見えますが、実は、遠く離れた中国・蘇州の伝統家屋です。

中国の蘇州は、その美しい庭園や水郷風景で有名ですが、古くから商業と文化の中心地として栄え、多くの富裕層が住んでいました。

彼らは、家屋を建てる際に美観と機能性を両立させることを重視し、白壁と黒瓦のデザインを好んで採用しました。これらの伝統家屋は、今でも蘇州に残っており、訪れた人々に深い印象を与えます。

何故、蘇州の家屋では白壁と黒瓦を使うのか?

白壁と黒瓦の組み合わせが見られるのは、蘇州が位置する中国江南地方の気候条件が大きく影響しています。

蘇州は、四季がはっきりしており、夏は非常に暑く湿度が高い一方で、冬は冷え込みます。白い壁は、暑い夏の日差しを反射する効果があり、建物内部の温度上昇を抑える役割を果たします。

特に蘇州がある江南地方では、強い日差しが建物に直接当たることが多いため、白壁は自然な冷却効果を持つ優れた選択肢となります。また、冬場には白壁がわずかに太陽光を吸収し、冷え込みを和らげる助けにもなります。

また、白と黒のコントラストは、中国伝統の「陰陽」思想とも関連しており、自然のバランスや調和を表現しているとも言われております。

黒瓦について

黒瓦は耐久性と断熱性に優れた素材であるため、蘇州の家屋において広く使用されています。

黒瓦は、通常、粘土を高温で焼成することで作られ、その過程で表面に自然な黒色が形成されます。この黒色の瓦は、断熱性に優れた素材であるため、日中は太陽の熱を吸収し、夜間にはその熱を放出する特性を持っています。これにより、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるため、季節を通じて快適な住環境が維持されるのです。

また、黒瓦は、耐久性も優れており、長期間にわたって雨や風、その他の自然要因に耐えることができ、メンテナンスの頻度を減らすことができます。

まとめ

蘇州は、その美しい庭園や水郷風景で有名ですが、白壁と黒瓦の家屋がこれらの景観と調和し、一体感を生み出しています。白と黒の対比は、非常にシンプルでありながら、視覚的に強い印象を与えます。特に蘇州のような水辺の街では、白壁と黒瓦が水面に映り込むことで、さらに風景の美しさが際立ちます。

近年では、都市化の進展や現代的な建築物の増加によって、蘇州の伝統家屋が減少する傾向にありますが、白壁と黒瓦の家屋を保護・修復する動きも強まっています。もし、中国旅行する機会があれば是非、蘇州に足を運んで見てください。