中国労働契約法

参照した中国労働契約法について

2007年6月29日中国の全人代常務委員会28次大会にて採択、2008年1月1日施行。
2012年12月28日改正法案の採択、2013年7月1日施行。

はじめに

労働契約法は、中国国内で働く労働者と使用者との関する法律であり全98条で構成されております。今回は、中国進出する日本人駐在員が最低限読んでおくべき13条文を抜粋しました。尚、併記している中国語は中国労働契約法の原文です。

中国労働契約法

第2章 労働契約の締結

第12条
労働契約は、固定期限付き労働契約、無期限労働契約、一定の仕事任務の完了とする一時的労働契約に分かれるものとする。

原文:劳动合同分为固定期限劳动合同、无固定期限劳动合同和以完成一定工作任务为期限的劳动合同。

第13条
固定期限付き労働契約とは、使用者と労働者が契約の終了時期を合意している労働契約をいう。使用者と労働者が協議により合意すれば、固定期限付き労働契約は締結されるものとする。

原文:固定期限劳动合同,是指用人单位与劳动者约定合同终止时间的劳动合同。用人单位与劳动者协商一致,可以订立固定期限劳动合同。

第14条
無期限労働契約とは、使用者と労働者が契約の終了時期を確定せず合意した労働契約をいう。  使用者と労働者が協議により合意すれば、無期限労働契約は締結されるものとする。ただし、使用者は労働者と労働契約の継続または締結にあたり、下記の何れかに該当する場合、労働者自らが固定期限付き労働契約を申し出る場合を除き、無期限契約を締結しなければならない。
(1) 労働契約更新時に、労働者がすでに当該使用者において連続して満10年以上勤務している場合
(2) 使用者が労働契約制度を初めて実行するか、国有企業が制度改革後に新たに労働契約を締結する時に、労働者がすでに当該使用者において連続して満10年以上勤務しており且つ法定の退職年齢から10年以内の場合
(3) 固定期限付き労働契約を連続して2回締結したのちにさらに更新する場合で、且つ労働者が39条と40条1項、2項の状況に該当しない場合。また、使用者は労働者を雇用してから1年を経て、書面にて労働契約を締結していない場合、使用者と労働者は、無期限労働契約を締結したものとする。

原文:无固定期限劳动合同,是指用人单位与劳动者约定无确定终止时间的劳动合同。用人单位与劳动者协商一致,可以订立无固定期限劳动合同。有下列情形之一,劳动者提出或者同意续订、订立劳动合同的,除劳动者提出订立固定期限劳动合同外,应当订立无固定期限劳动合同:
(一)劳动者在该用人单位连续工作满十年的;
(二)用人单位初次实行劳动合同制度或者国有企业改制重新订立劳动合同时,劳动者在该用人单位连续工作满十年且距法定退休年龄不足十年的;
(三)连续订立二次固定期限劳动合同,且劳动者没有本法第三十九条和第四十条第一项、第二项规定的情形,续订劳动合同的。
用人单位自用工之日起满一年不与劳动者订立书面劳动合同的,视为用人单位与劳动者已订立无固定期限劳动合同。

第4章 労働契約解除終了

第36条
使用者と労働者は協議のうえ合意に達すれば労働契約を解除できるものとする。

【原文】用人单位与劳动者协商一致,可以解除劳动合同。

第37条
労働者は30日前に、書面形式をもって使用者に通知することで労働契約を解除できるものとする。労働者が試用期間内にある場合には、3日前に使用者に通知することで労働契約を解除できるものとする。

【原文】劳动者提前三十日以书面形式通知用人单位,可以解除劳动合同。劳动者在试用期内提前三日通知用人单位,可以解除劳动合同。

第38条
以下のいずれかの状況にある場合、労働者は使用者に対して労働契約を解除できるものとする。
(1) 使用者が労働契約の規定どおりの労働保護と労働条件を提供しない場合
(2) 使用者が期限内に労働報酬を満額支給しない場合
(3) 使用者が法律にもとづいて労働者の社会保険費用を納付しない場合
(4) 使用者の規則制度が法律、法規に違反し労働者の権益に損害を与える場合
(5) 26条1款規定の規状況によって、労働契約無効となった場合
(6) 法律、行政法で規定されている其の他の状況にある場合。
使用者が暴力、威嚇または違法に人身の自由を制限する手段で労働者に労働を強制し、あるいは使用者が規則に違反して、危険な作業を指示し、もしくは強制して労働者の人身の安全をおびやかす場合には、労働者はただちに労働契約を解除でき、使用者に事前に告知する必要はないものとする。

【原文】用人单位有下列情形之一的,劳动者可以解除劳动合同:
(一)未按照劳动合同约定提供劳动保护或者劳动条件的;
(二)未及时足额支付劳动报酬的;
(三)未依法为劳动者缴纳社会保险费的;
(四)用人单位的规章制度违反法律、法规的规定,损害劳动者权益的;
(五)因本法第二十六条第一款规定的情形致使劳动合同无效的;
(六)法律、行政法规规定劳动者可以解除劳动合同的其他情形。
用人单位以暴力、威胁或者非法限制人身自由的手段强迫劳动者劳动的,或者用人单位违章指挥、强令冒险作业危及劳动者人身安全的,劳动者可以立即解除劳动合同,不需事先告知用人单位。

第39条
以下のいずれかの状況にある場合、使用者は、労働者との労働契約を解除できるものとする。
(1) 試用期間において採用条件に不適格であることが証明された場合
(2) 使用者の規則制度に著しく違反した場合
(3) 著しい職務怠慢、不正行為により使用者に対し重大な損害を与えた場合
(4) 労働者が他の使用者と同時に労働関係を持ち、使用者の業務遂行に著しい影響を与え、使用者の指摘にもかかわらず是正しなかった場合
(5) 本法第26条第1項(注:詐欺、脅迫等の手段により労働契約を締結させたこと)により労働契約が無効と認められる場合
(6) 法により刑事責任を追及された場合

【原文】劳动者有下列情形之一的,用人单位可以解除劳动合同:
(一)在试用期间被证明不符合录用条件的;
(二)严重违反用人单位的规章制度的;
(三)严重失职,营私舞弊,给用人单位造成重大损害的;
(四)劳动者同时与其他用人单位建立劳动关系,对完成本单位的工作任务造成严重影响,或者经用人单位提出,拒不改正的;
(五)因本法第二十六条第一款第一项规定的情形致使劳动合同无效的;
(六)被依法追究刑事责任的。

第40条
下記のいずれかの状況にある場合、使用者は30日前に書面形式により労働者本人に通知するか労働者に1か月分の賃金を支払ったのちに労働契約を解除できる。
(1) 労働者が病気になり、または業務外での負傷により規定の医療期間の満了後も元の業務に従事できず、 使用者が用意した他の業務にも従事できない場合
(2) 労働者が業務に不適任であり、研修訓練もしくは勤務部署の調整を行っても、なお業務を担当する能力がない場合
(3) 客観的な根拠により、労働契約が締結時と異なる重大な変化が発生し、労働契約の履行ができなくなり、使用者と労働者の協議を経ても労働契約の内容変更につき合意ができなかった場合

【原文】有下列情形之一的,用人单位提前三十日以书面形式通知劳动者本人或者额外支付劳动者一个月工资后,可以解除劳动合同:
(一)劳动者患病或者非因工负伤,在规定的医疗期满后不能从事原工作,也不能从事由用人单位另行安排的工作的;
(二)劳动者不能胜任工作,经过培训或者调整工作岗位,仍不能胜任工作的;
(三)劳动合同订立时所依据的客观情况发生重大变化,致使劳动合同无法履行,经用人单位与劳动者协商,未能就变更劳动合同内容达成协议的。

第41条
下記のいずれかの状況にあり、20人以上の人員削減が必要な場合または20人未満であっても従業員総数の10%以上の人員削減が必要な場合、使用者は人員削減の30日前までに労働組合または従業員のすべてに状況を説明し意見聴取を行い、人員削減案を労働行政部門に報告した後に、人員削減を行うことができるものとする。
(1) 企業破産法の規定により整理解雇を行う場合
(2) 企業経営がきわめて困難になった場合
(3) 事業転換や重大な技術革新、経営方針転換により、労働契約を変更した後にも、なお人員削除をせざるを得ない場合
(4)客観的な視点から経済情勢に重大な変化があり労働契約の履行が困難になった場合。尚、人員削減に際しては下記の労働者を優先的に残さなければならない。
1.本企業と比較的長期の固定期限付き労働契約を締結している者
2.無期限労働契約を締結している者
3.家庭に他の就業人員がいなく、要介護のお年寄りまたは未成年者がいる者 。 使用者は本条1項の規定により人員削減を行い6ヶ月以内に新たに人員を募集する場合には人員削減された者に通知しなければならず、等しい条件の下で削減された人員を優先的に雇用しなければならない。

【原文】有下列情形之一,需要裁减人员二十人以上或者裁减不足二十人但占企业职工总数百分之十以上的,用人单位提前三十日向工会或者全体职工说明情况,听取工会或者职工的意见后,裁减人员方案经向劳动行政部门报告,可以裁减人员:
(一)依照企业破产法规定进行重整的;
(二)生产经营发生严重困难的;
(三)企业转产、重大技术革新或者经营方式调整,经变更劳动合同后,仍需裁减人员的;
(四)其他因劳动合同订立时所依据的客观经济情况发生重大变化,致使劳动合同无法履行的。
裁减人员时,应当优先留用下列人员:
(一)与本单位订立较长期限的固定期限劳动合同的;
(二)与本单位订立无固定期限劳动合同的;
(三)家庭无其他就业人员,有需要扶养的老人或者未成年人的。
用人单位依照本条第一款规定裁减人员,在六个月内重新招用人员的,应当通知被裁减的人员,并在同等条件下优先招用被裁减的人员。

第46条
下記のいずれかの状況にある場合、使用者は労働者に対して経済補償を支払わなければならない。
(1) 労働者が本法第38条(労働報酬を全額で支払われないこと及び規約に従った労働保護又は労働条件が提供されないことなど)の規定により労働契約を解除した場合
(2) 使用者が本法36条の規定により、労働者に対し労働契約の解除を申し出て、且つ協議のうえ労働者が労働契約解除に合意した場合
(3) 使用者が本法第40条(使用者による労働契約の予告解除)の規定により労働契約を解除した場合
(4) 使用者が本法第41条第1項の規定(整理解雇)により労働契約を解除した場合
(5) 使用者が労働契約の約定条件を維持し、又は労働契約の条件引き上げを提案したにもかかわらず、労働者が 継続契約に同意しない場合を除き、本法第44条第1項の規定により固定期限付き労働契約を終了する場合
(6) 本法第44条第4項(使用者が法により破産宣告を受けた場合)、第5項(使用者が営業許可取消しもしくは閉鎖命令、撤退及び解散を受けた場合)の規定により労働契約を終了する場合
(7) 法律、行政法規で規定されているその他の状況下にある場合

【原文】有下列情形之一的,用人单位应当向劳动者支付经济补偿:
(一)劳动者依照本法第三十八条规定解除劳动合同的;
(二)用人单位依照本法第三十六条规定向劳动者提出解除劳动合同并与劳动者协商一致解除劳动合同的;
(三)用人单位依照本法第四十条规定解除劳动合同的;
(四)用人单位依照本法第四十一条第一款规定解除劳动合同的;
(五)除用人单位维持或者提高劳动合同约定条件续订劳动合同,劳动者不同意续订的情形外,依照本法第四十四条第一项规定终止固定期限劳动合同的;
(六)依照本法第四十四条第四项、第五项规定终止劳动合同的;
(七)法律、行政法规规定的其他情形。

第47条
経済補償は、労働者がその企業で働いた年数単位によって満1年毎に1ヶ月の給与を支払うという計算基準で労働者に対して支払われるものとする。6ヶ月以上1年未満の場合は、1年として計算する。6か月未満の場合は、労働者に半月分の給与を経済補償金として支払わなければならない。
労働者の月給が使用者所在の直轄市或いは市級人民政府公布的本地区の前年度職工平均月給の3倍以上になる場合、経済補償の基準は、職工平均月給の3倍を支払うものとする。また、経済補償の年限は、最高12年を越えないものとする。本条の月給は、労働者の労働契約の解除または終了前の12ヶ月間の平均給料とする。

【原文】经济补偿按劳动者在本单位工作的年限,每满一年支付一个月工资的标准向劳动者支付。六个月以上不满一年的,按一年计算;不满六个月的,向劳动者支付半个月工资的经济补偿。劳动者月工资高于用人单位所在直辖市、设区的市级人民政府公布的本地区上年度职工月平均工资三倍的,向其支付经济补偿的标准按职工月平均工资三倍的数额支付,向其支付经济补偿的年限最高不超过十二年。本条所称月工资是指劳动者在劳动合同解除或者终止前十二个月的平均工资。

第48条
使用者が本法の規定に違反して労働契約を解除または終了する場合、労働者が労働契約の継続履行を要求すれば、使用者は継続履行をしなければならない。労働者が労働契約の継続履行を要求せず、または労働契約の継続履行が既に不可能な場合には、使用者は本法第87条に規定されている経済補償基準に従い、労働者に対して賠償金(47条に規定する経済補償金基準の2倍)を支払うものとする。

【原文】用人单位违反本法规定解除或者终止劳动合同,劳动者要求继续履行劳动合同的,用人单位应当继续履行;劳动者不要求继续履行劳动合同或者劳动合同已经不能继续履行的,用人单位应当依照本法第八十七条规定支付赔偿金。

第7章 法律責任

第87条
使用者が本法の規定に違反して労働契約を解除または終了する場合、使用者は、労働者に対し、当該法の第47条に規定する経済補償金基準の2倍の額の賠償金を支払うものとする。

【原文】用人单位违反本法规定解除或者终止劳动合同的,应当依照本法第四十七条规定的经济补偿标准的二倍向劳动者支付赔偿金。

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