海外取引には、関税という税金があります
航空機を主体とした輸送網の発達により、誰でも手軽に国際宅配便が利用できるようになりました。
電話一本ですぐに集荷に来てくれ、数日で相手に届けてくれる国際宅配便は、本当に便利で、まるで国内宅急便と同じような感覚になったりします。
しかし、実際は国内宅急便と国際宅配便には、大きな違いがあります。それは、国際宅配便には、通関という物があり商品によっては、高額の関税がかかるということです。
そもそも関税って何?
関税(かんぜい)というのは、一言でいうと、国境の外から入ってくる商品に対して課される税金のことです。
日本を含むほとんど国は、世界共通で使われているHS品目表にもとづいて、各商品の分類番号(HSコード)毎に独自の税率を定めています。
通常、関税は、商品の価格(インボイス価格)に対してかかります。
よって、商品が高価であればあるほど、負担する額は増えます。
例として、ある製品の関税額が20%であった場合、インボイス価格が100万円であれば20万円、インボイス価格300万円であれば60万円の関税を納めなければなりません。
誰が関税を支払うの?
国際宅配便の場合、特別な取り決めをしてない限り、関税は荷物を受け取る国の人=荷受人(※業界用語でコンサイニーConsigneeと呼びます)に請求されます。
ときどき、自社製品の輸出をしているお客様で、関税は相手である荷受人のことだから、発送人の自分は全く気にしてないという方がいらっしゃいます。しかし、これは間違いです。
何故なら、万が一、荷受人が関税を支払わなかった場合(もしくは支払えなくなった場合)は、発送人(※業界用語で、シッパー、SHIPPERとも呼びます)に請求書が来る可能性があるからです。
よって、海外向けに工業製品を出荷する場合は、相手が本当に関税を支払えるのか、よく見極めることが必要です。
関税支払のトラブルを回避するには
輸出する相手が、初めての取引相手だったり、貿易知識に乏しい企業であったりする場合は、相手方にHSコードと呼ばれる世界共通の商品コード(上6桁)を伝えて、関税は問題ないか確認しておく事が無難です。
※HSコードは、「号(=上6桁)」までは世界共通ですが、それ以下は各国別に定められています。
もし、相手が、関税の事が全く分かってない場合は、
少々面倒ですが、ご自身で相手国の税関サイトを見て調べて、DDPで契約を行い、発送人側である自分が、関税込みの輸送費を全て負担することをお勧めします。
正しい、知識があればリスクを最小限にできます。皆様も関税について理解を深めて、安全な取引をしましょう。
DDP (Delivered Duty Paid)
関税込みの、仕向け地持ち込み渡し条件。売主は、指定された目的地まで商品を送り届けるまでのすべてのコスト(輸入関税を含む)とリスクを負担します。
HS品目表
HS条約(正式名称は、『商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約』、英語:The International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System)で定められた世界共通の商品品目表。2015年5月現在、HS条約非加盟国を合わせ合計208カ国が・地域が採用している。
HSコード
HSコードとは、HS品目表で定められた商品の分類番号の事で、タリフコードや税番、品目コード、HS番号などと呼ばれることもあります。
上6桁は、HS条約加盟国およびHS品目方適用国で共通ですが、7桁目以降については、各国独自の裁量で取り決める国内細分になります。
因みに、日本は6桁+国内細分3桁で、9桁のHSコードを使います。海外では10桁の場合もあります。
関税
customs duties:国境を越えて取引される商品に課せられる税金。自国を通過する商品に課せられる通過税、外国への輸出品に課せられる輸出税、外国からの輸入品に課せられる輸入税がある。
日本大百科全書(ニッポニカ)より