中国から高速度カメラをハンドキャリーで持ち出せるか?

先日お客様より、『中国に納入した装置に取り付けていた高速度カメラをハンドキャリーで持って帰れるか?』と相談を受けました。
詳しくお話しを伺うと、中国からカメラの持ち出しは難しいと噂を聞いて心配になったとのこと。確かに中国の税関で捕まって高価なカメラ没収されたら大変です。

カメラは、本当に中国からの輸出規制対象か?

一口にカメラといっても静止画像撮影用、動画用など種類も多岐にわたり、輸出規制の有無は、それだけでは判断できません。
まずは、中国からの持ち出し規制品目にカメラが入っているか?そして、もし規制対象にカメラが入っているなら、どのようなカメラなのかを知る事が必要になります。

規制対象品については、中華人民共和国海関進出口税則2017年版に記載されておりますが、カメラは概ね輸出規制の対象外です。
しかし、超高速の撮影ができるカメラとなると両用物質技術(軍需転用可能物質技術)の対象となり持ち出しにあたっては中国政府の輸出許可証が必要となります。

規制を受ける超高速度のカメラとは、具体的にどのようなものかというと、以下の通りです。

1.Frame Camera(rate of recording 〉225000 frame/sec)

2.Electronic(or Electronic shutter)framing camera(frame exposure time 51 nanoseconds 以下)

3.Radiation-resistant television cameras(capable of resisting fradiance 〉5×10の4乗GY(Si)and not lowering operation quality)

※2017年8月時点

持ち出す製品が輸出規制対象物かどうかどうやって調べるのか

輸出規制品かどうかを確実に調べる方法は、2つのステップで調査します。

ステップ1:商品コード(HSコード)を調べる

まず国外に持ち出す製品のHSコードの上6桁を調べます。HSコードとは、世界208ヵ国(2015年5月現在)が採用している共通の製品コードで、上6桁は、採用国どこでも共通です。因みに、7桁目以降については、各国独自の裁量で取り決める国内細分になります。
電子機器の多くは、世界各国に輸出されており、たいていは製造元のメーカーに製品のHSコードを問い合わせれば教えて頂けるはずです。

ステップ2:輸出規制対象か確認する

現地国の税関に、HSコードを伝えて輸出規制対象のコードに該当するか確認するのが一番確かです。もし、運送会社に輸送を依頼するのであれば、業者担当者にHSコードを伝えて現地通関に確認をとってもらうのも一つの方法です。どうしても現地国での調査が出来ない場合は、JETROなどでもアドバイスがもらえますが、JETROは情報提供のみで該非判定の判断までは出来ないので自己責任で判断する必要があります。

今回の場合は、規制対象となるHSコードに該当しないことが判明したので、メーカー様も安心してハンドキャリーしました。

補足:
中国からのハンドキャリーは問題なくても、日本国内の通関があり、申告内容によっては、関税および消費税、地方消費税がかかります。