今、中国で売れている日本製品とは?

先日、中国の友人からWeChat(※中国ではLineが使えないのでWeChatを使います。)を通じて、一枚の写真が送られてきました。開いてみると、日本製の赤ちゃん用品がいっぱい載っています。
友人は、念願の赤ちゃんが生まれたばかりでとても喜んでいる一方で、給与のほとんどは、奥さんの購入する日本製赤ちゃん用品に消えてしまうと嘆いていました。

『今の時代、中国でなんでも作っているのだから、無理して高い日本製を買わなくていいのでは?』とメッセージを送ったところ、
『自分の奥さんだけでなく知り合いのお母さん達もすべて、国産の赤ちゃん用品に不安を感じており、たとえ家計が苦しくても無理して日本製を買います。』と返事がきました。

実際に中国製のオムツは、赤ちゃんのお尻がかぶれれて赤くなる場合があるそうです。中国人であろうが日本人であろうが親というのは、子供のためならお金を惜しまないのです。

海外で売れる日本製品に共通するものとは?

海外で売れる日本製品の条件は何でしょうか?
先ほどのオムツの場合、日本メーカーは、品質において中国の親(特にお母さん)の信頼を勝ち取っており、価格が少々高くても売れる状況です。

では、『品質』がキーワードかというとそうではありません。素晴らしい品質管理をおこなっているのに海外で売れず苦労している日本メーカーはたくさんいます。
当社はこれまで日本のモノづくり企業様の製品をたくさん海外に販売してきましたが、売れる製品には共通点があります。それは、お客が購入にあたり一番重視しているものに応えているということです。繰り返しになりますが二番目ではなく一番目に重視している事です。

オムツを例にすると、中国の親はもちろん価格を気にしています。しかし、価格は購入を判断する最優先事項ではありません。一番重視していることは、価格ではなく愛おしい我が子の健康です。よってオムツは、いくら値段を下げても品質で信頼を勝ち得ない限りはシェアが伸びません。

モノづくり企業でよくある話

お客が製品を購入する場合に一番重視していることを間違えていると、どんなに頑張っても売れません。もし売れたとしても利益がなかったり、場合によっては赤字受注となります。海外メーカーとの厳しい競争に苦しんでいる企業様は、自分たちの製品が本当にお客の要望に応えているのか、お客の視点になって調査をしてはいかがでしょうか?意外な事実や突破口が見つかることがあります。

以前、海外で飛ぶように売れていた日本の製造装置が急激に売れなくなったことがあります。最初は、海外メーカーの安い装置に一時的にお客が惑わされているだけで、いずれ注文は戻ってくると思ってました。しかし、1年待ってもお客は日本製に戻ってきませんでした。これは大変だということで本気になって調べてみると、お客が装置購入にあたって一番重視していることが、『品質』から『多品種対応』に変ったことが原因だと分かりました。
しかし、これはお客が優先順位が変わったと連絡してくれたのではありません。いろいろなお客とやり取りする中で、ぼんやり見えてくる大きな時代の流れのようなものでした。

お客が一番重視していることを見つける方法

モノづくり企業様の海外支援を行っていく中で、私がよくお伝えするのは、『お客と直接コミュニケーションしましょう!』です。机の上で、高価な市場情報のデーターを眺めていても、お客が本当に求めているものは分かりません。お客と話をして生の声を聞き、欲しがっている物の本質を見つける事が何より重要です。

もちろん、なんでもかんでもお客の話に耳を傾ける必要はありません。しかし、これまでお付き合いしてきたお客から難しい要求が増えてきたと感じる時は、市場が変化しているサインの可能性があります。まずは、お客のちょっとした依頼や要求に意識を向けることから始めると良いと思います。