海外出張に頻繁に行くビジネスパーソンにとって、スーツケースは非常に重要なアイテムです。旅行であればデザイン重視でも構いませんが、出張用のスーツケースは実用性と機能性が重視されます。
これまでアジア地域を中心に100回以上の海外出張を経験した私が、スーツケース購入時に注意しているすポイントを整理しました。仕事内容によって意見が分かれる部分もあるかもしれませんが、あたなのスーツケース選びの参考になれば幸甚です。
ポイント1:大きさ(サイズ)
一般に「大は小を兼ねる」とは言いますが、海外出張用スーツケースに限っては異なり、小さければ小さいほど移動が楽になります。おすすめは機内持ち込みサイズで、スーツ1着、靴1足、3日分の下着・靴下、Yシャツ3枚、パソコンなどの仕事道具が入るサイズが理想です。容量としては、30〜40リットルを目安にすれば良いでしょう。私が、機内持ち込みサイズをおすすめする理由は、3つあります。
1.入国審査後すぐに空港を出られる
大型の飛行機の場合、手荷物受取所で長時間待たされることがあります。私は、過去にスーツケースが出てくるまで30分以上待たされ、乗る予定の電車に間に合わなかった経験があります。それ以来、スーツケースは必ず機内に持ち込み、入国審査後すぐに空港を出られるようにしています。
2.盗難、紛失、破損の防止になる
スーツケースを空港カウンターで預けてしまうと、飛行機への積み込みや取り下ろし作業中に貴重品が盗まれたり、乱暴に扱われて中の電子機器が壊れるリスクがあります。海外出張時は、スーツケースを常に自分の管理下に置くことが重要です。
3.必要なものをすぐに取り出せる
機内にスーツケースを持ち込んでおけば、フライト中に書類やパソコンなどを見たいときにすぐに取り出すことができます。
ポイント2:ケース素材
スーツケースにはソフトタイプとハードタイプの2種類があります。ソフトタイプはナイロン素材で軽量なメリットがありますが、ハードタイプはABSやポリカーボネートなどのプラスチック、あるいはジュラルミン(アルミニウム合金)などの金属素材を使い、頑丈で耐久性に優れています。頻繁に出張に行く人には、ハードタイプでABSやポリカーボネートなどのプラスチック素材がおすすめです。私が、ハードタイプ(ABS、ポリカーボネート系)のスーツケースをおすすめする理由は3つあります。
1.雨で中身が濡れにくい
東南アジアなど突然の大雨に遭う地域への出張では、ソフトタイプのスーツケースだと長時間の雨で中に水が染み込む可能性があります。大切な書類や電子機器を保護するためにも、ハードタイプのほうが防水性が高く安心です。
2.耐久性が高く衝撃に強い
飛行機の棚や車のトランクなどに載せたり降ろしたりを繰り返すスーツケースは、頻繁に衝撃が加わります。ソフトタイプは外部からの衝撃が中身に直接伝わる可能性がありますが、ハードタイプはケース自体が衝撃を吸収し、内部のアイテムを保護します。特にパソコンや電子機器を持ち運ぶ際に有効です。
3.盗難対策になり安全性が高い
出張中は常にスーツケースを手元に置くべきですが、空港やホテルなどで一時的に目を離さざるを得ない場合もあります。ソフトタイプは鋭利な刃物で簡単に切り裂かれる可能性がありますが、ハードケースは破壊が難しいため、比較的安全です。
ケース表面がエンボス加工(凸加工)してあると傷がつきにくいのでお勧めです。
ポイント3:車輪(キャスター)
車輪はスーツケースの中で最も重要なパーツです。これが壊れると、スーツケースはただの重たい箱になってしまいます。車輪のタイプは、2輪と4輪があります。2輪はデザイン性が高く、スマートな印象をあたえますが、海外出張では、4輪でストッパー機能があり、頑丈な構造のものを選ぶのがおすすめです。私が4輪をおすすめする理由は以下3つです。
1.身体への負荷が少ない
4輪は、スーツケースを直立させた状態で、縦横斜めにスライドさせて移動できるので、腰を曲げずに楽な姿勢で歩くことができるので、引っ張って歩く2輪より長時間の移動で疲れ難いです。
2.人混みや狭い通路で動きやすい
2輪のスーツケースはスタイリッシュで慣れた方に人気がありますが、後ろに引っ張って移動するため、狭い通路や混雑した空港では使いにくい場合があります。4輪ならば自由に方向転換でき、空港のセキュリティチェックや、列に並んでいる時の方向転換が必要なシチュエーションでも、スムーズに対応できます。
3. 車輪への負荷が少ない
2輪スーツケースは後ろに引っ張って移動するため、片側の車輪に負荷が集中しやすくなりますが、4輪スーツケースは荷物の重さを4つの車輪に均等に分散させるため、車輪にかかる負荷が軽減され、車輪の寿命が延びるという利点があります。
ポイント4:その他、押さえておくべき5ポイント
上記以外にスーツケース選びで押さえておくべき5つのポイントを記載しました。ご参考にしてください。
1.機内持ち込みサイズか否か?
JALやANAの場合、国内・国際線ともに座席数が100席以上の飛行機では、付属品(ハンドル、ポケット、キャスターなど)を含めた3辺の合計が115cm以内、各辺の長さが55cm×40cm×25cm以内、重量が10kg以内であれば機内持ち込みが可能です。その他の航空会社でもほぼ同様の規格ですが、LCCや中東系航空会社(エミレーツ航空、カタール航空など)では、重量制限が7kg以内であったり、許容サイズが小さかったりする場合もあるため、事前の確認が必要です。
2.車輪ストッパー機能の有無
4輪の欠点は、揺れる電車やバス、傾斜のある場所などでスーツケースが横滑りを起こすことです。この横滑りを気にして、あえて2輪を選ぶ人もいるくらいです。車輪ストッパーが付いていると、4輪ならではの問題である横滑りを低減させることができます。私は、スーツケース選ぶ時、必ずストッパー機能の有無を確認します。
3.フロントポケットはあるか?
海外出張用スーツケースには、衣服のほかに仕事関係のものが入ります。移動中に書類やパソコンを取り出す際に、毎回スーツケースを全開にするのは手間です。ノートパソコンとA4サイズの資料が余裕をもって入るフロントポケット付きのスーツケースを選ぶと便利です。
4.縦型か横型か?
スーツケースには縦長タイプと横長タイプがあります。横長タイプはスタイリッシュで中身が取り出しやすい反面、場所をとります。混雑した電車やバスでの移動が多い場合は、足元のスペースをとらない縦長タイプのほうが便利です。
6.TSAロック機能はあるか?
私は、海外出張に行く時、スーツケースは必ず機内に持ち込みますが、まれに重量オーバーでカウンターで預け入れが必要な場合もあります。アメリカでは、安全対策としてスーツケースを開錠して預けることが求められますが、TSAロック機能付きの鍵ならば、アメリカ運輸保安局(TSA)が専用ツールで開錠できるため安心です。米国出張が予定になくても、TSAロック機能付きのスーツケースを選んでおくと無難です。