環境より経済発展を第一に進めてきた中国ですが、国民の健康を害すまで悪化した大気汚染は、もはや放っておけない深刻な問題になり、中国政府は次々と厳しい環境規制を行っています。
中国の大気汚染の原因
中国の大気汚染が悪化した原因の一つとして過剰な石炭消費があります。
石炭というとオーソトラリアの巨大な炭鉱を思い浮かべる人も多いと思いますが、実は中国が石炭の採掘量も消費量も世界でダントツの一位です。
火力発電所や冬場の暖房設備などの需要で世界で産出された石炭の約半分が中国一国で燃やされています。
この石炭消費による空気汚染に加えて自家用車や運送トラックの排ガス、工場から排出される煤煙などにより中国の一部地域では、太陽の日差しが届かないほど深刻です。
大気汚染の6つの指標
大気汚染の状況を知るための指標は、測定する物質により異なります。代表的な指標は以下の通りです。
①AQI( Air Quality Index)
空気質指数(くうきしつしすう)または大気質指数(たいきしつしすう)と呼ばれている。オゾン、PM2.5、PM10、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素などの濃度を総合して空気の汚染状況を総合判定する。
もともとは アメリカ環境保護庁(EPA)で採用されていた指標だったが、世界の多くの国が採用している。
大気汚染の程度を、0~500のスコアで表し、危険度よって6区分に色分けして表示する。値が100を超えると健康に良くないとされる。
■0~50:Good(良好)
■51~100:Moderate(普通)
■101-150:Unhealthy for Sensitive Groups(敏感な人には良くない、軽度の汚染)
■151 – 200:Unhealthy(健康に悪い、中程度の汚染)
■201 – 300:Very Unhealthy(とても健康に悪い、重度の汚染)
■301 – 500:Hazardous(危険、深刻な汚染)
②PM2.5/PM10
PMとは、Particulate Matter(粒子状物質)の頭文字のこと。粒径2.5μm(2.5mmの千分の1)がPM2.5、粒径10μm(10mmの千分の1)がPM10。
単一の化学物質ではなく、炭素、硝酸塩、硫酸塩、金属を主な成分とする混合物である。
尚、PM2.5は、花粉より小さい大きさであり、普通のマスクでは防げないどころか、肺の奥まで侵入して肺がんや喘息などの病気を引き起こすリスクがある。
影響が出やすい人:肺疾患や心疾患を持つ人、子供、高齢者
③オゾン
Ozone(O3)は、オゾンは光化学オキシダント(オゾンやパーオキシアシルナイトレートなどの酸化性物質)の主成分である。
この光化学オキシダントと硝酸塩や硫酸塩などからなる固体成分の微粒子が混合すると光化学スモッグと呼ばれる健康に影響を及ぼすことがある大気汚染になる。
また、オゾンの強力な酸化性のため、植物や農業に対する悪影響が憂慮されている。
影響が出やすい人:肺疾患(呼吸器疾患)を持つ人、子供、高齢者、屋外で運動をする人
④二酸化窒素
Nitrogen dioxide(NO2)。一酸化窒素が空気または酸素と反応して生成する、刺激臭のある赤褐色の気体であり、環境汚染物質の一つ。
NOとともにNOxとよばれる。
影響が出やすい人:肺疾患(呼吸器疾患)を持つ人
⑤二酸化硫黄
Sulfur Dioxide(SO2)は、刺激臭を有する気体で、別名亜硫酸ガス。
化石燃料の燃焼などで大量に排出される、環境汚染物質の一つ。
多量の硫黄化合物を含んでいる石炭や石油を燃焼させると発生する。火山活動でも発生する。
酸性雨の原因にもなる。
影響が出やすい人:喘息を持つ人
⑥一酸化炭素
Carbon monoxide(CO)は、炭素の酸化物の1種であり、環境汚染物質の一つ。
炭素または炭素化合物が不完全燃焼するとき生ずる。自動車の排ガスにも含まれている。
無色無臭で有毒。点火すると青白い炎をあげて燃え、二酸化炭素になる。
影響が出やすい人:心疾患を持つ人
中国の大気汚染をリアルタイムで見る方法
中国出張で大気汚染が激しい都市に行く場合は、事前に状況を調べて必要に応じてPM2.5用のマスクを用意したり、現地で不要な外出を控えたりする必要があります。
その時に参考になるのが、The World Air Quality Index projectが提供している専門サイトWorld‘s Air Pollution http://waqi.info/ です。
中国を含めて世界80カ国、1000都市、10000駅以上の大気汚染がリアルタイムで見れます。※日本の状況も見れます。