2018年、世界最大のレアアース生産国である中国が世界最大の輸入国に!

2018年、中国のレアアース輸出量は前年比4%増の53,000トンになりました。

このニュース事態は普通の市場情報にすぎませんが、調査会社Adamas Intelligence社が発表したもう一つの報告は、人々を驚かせました。

なんと、同年(2018年)中国は、前年度比167%増となる41,400トンのレアアース(希土酸化物など)を輸入していたのです。

この輸入量は、15年前の中国輸入量の約10倍であり且つ世界一の輸入量です。

中国が急激に輸入を増やした原因とは?

中国のレアアース輸入が急激に増えた理由は、中国政府による国内非合法レアアース工場への取り締まりと言われております。
多数の非合法レアアース工場が生産停止となり国内生産量が急減したのです。

Adamas Intelligence社の責任者Ryan Castilloux氏によると、2018年に少なくとも7種類のレアアースにおいて、中国は純輸入国(輸入量が輸出量を上回ること)になったと指摘しています。
これは過去30年で初めてのことですが、中国の輸入量拡大は長期的なトレンドになるとの見解です。

現在中国が輸入しているレアアースの多くは、米国産やミャンマー産の鉱物または化学濃縮品です。今後は世界各国のレアアース企業が中国市場への販売に動いていくと思われます。

ちなみに、アメリカは石油精製などで使われるレアアースの一つランタン(La/lanthanum)を多く含んだ鉱石を中国に送り、中国から酸化物や化学製品として買い戻しています。

アメリカのトランプ政権は、昨年中国産レアアースに輸入関税を徴収することを発表しましたが、その後撤回しました。この背景には中国の輸入量増加があるのかもしれません。

※情報ソース:MARCH 13, 2019 / REUTERS(ロイター)記事より

※レアアース
希土類(rare-earth element/REE)とは、、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ルテチウムなど計17種類の元素の総称のこと。埋蔵量が少ないかまたは採掘が困難なためレアメタルとも呼ばれる。パソコン、スマートフォンやハイブリッド車のモーターなど精密機器などで多く使われており「産業のビタミン」とも呼ばれている。