世界では年間どのくらい数のコンテナが船で運ばれているのか?
高速道路や幹線道路を車で走っていると大型トレーラーがコンテナを運んでいるのを見かけます。
青色・緑色・茶色などカラフルに塗装されたコンテナには大きな文字で船会社の名前が書いてあります。時代の流れで、最近は中国企業のコンテナが目立つようになりました。
実は、コンテナの大きさは世界で統一されています。よって運商業者はどこの国のコンテナでも扱うことができます。
今や世界の物流で欠かせなくなったコンテナ輸送ですが、2015年に世界の海で1年間に運ばれたコンテナ数は、20フィートコンテナ換算(TEU)で1億2千万個~1億3千万個と言われております。
因みに(公財)日本海事センターの『世界のコンテナ荷動き量の推移』によると2000年時点におけるコンテナ運送量は年間5千6百万個しかなく、たった15年間で2倍以上になりました。
巨大化するコンテナ船
増え続けるコンテナ数に対応する為、コンテナを輸送するコンテナ船も大型化が進んでおります。
2017年から運航を始めた日本の船会社(商船三井)の最新鋭コンテナ船は、長さ400メートル、幅58.8メートルもあり現時点で世界最大です。この船は20フィートコンテナ換算(※)で最大20,170個のコンテナを積載することができます。もはや船というより海に浮く巨大倉庫と言った方がよいのかもしれません。
因みに現代のコンテナ船は、水の抵抗を受けにくい設計になっており航海スピードは速くなっています。東京港から米国西海岸のロサンゼルスのロングビーチ港なら約11日間で航海することができます。
コンテナ船の安全性について
丈夫な金属で作られたコンテナは、よほどの衝撃が無い限り破損しません。また、コンテナ船に積み込まれたコンテナは、コンテナに取り付けられた固定機構によりコンテナとコンテナがしっかり固定されるだけでなく、荷崩れ防止の金属ワイヤーで外側から固定される為、余程のことが無い限り海に落ちる事はありません。
しかし、航海中に台風などに遭遇して座礁や荒波で船体破損を起こしたり、濃霧による他船との衝突等によりコンテナを海に落としてしまう事もあります。
輸出であれ輸入であれ、当事者が一番困るのは輸送中に貨物の紛失です。もし、紛失した貨物に保険をかけ忘れていた場合は、笑い事で済まされません。
コンテナ船は、他の輸送手段に比べてはるかに安全で過剰に心配しなくても良いという人もいます。確かにそうかもしれませんが、実際に航海中に海に落ちて無くなってしまうコンテナの数量くらいは、貿易担当者として知っておきたいものです。
航海中に失われるコンテナの数
カラフルな金属の箱を満載したコンテナ船は、ちょっと傾けば崩れてしまいそうに見えます。しかし、実際の船上では、コンテナ同士の4隅をツイストロックと呼ばれる金具で接続し、甲板上では頑丈な鋼鉄製の棒(ラッシング・バー)がコンテナをしっかり固定しており、余程の事が起きない限りコンテナが海に落ちることはありません。
とはいっても、嵐や操船ミスなどにより、座礁や衝突事故などが起きることがあり、毎年コンテナの何個かは航海中に失われます。
では、毎年どの位の数のコンテナが海上で失われてしまうのでしょうか?
航海中の事故で失われるコンテナの数に関して、世界の主要定期船社が参加しているWSC(世界海運評議会) が2011年と2014年に調査を実施してます。
WSC報告書によると2008年~2010年の3年間で年平均350コンテナ、2011年~2013年の3年間で年平均733コンテナが航海中に失われたと記載されております。
ただし、この数は大量のコンテナを一度に失う沈没事故※を含んでおりません。もし沈没事故も含めると平均数値は大きく上がり、2008年~2010年は、年平均675コンテナ、2011年~2013年は、年平均2683コンテナが海に消えたことになります。
コンテナを失う確率は高いのか?
一番悪い数字である年平均2684コンテナを、年間のコンテナ海上輸送数1億3千万個で割ると、海上輸送でコンテナを失う確率は、約0.00002%、つまり、約500万コンテナに1個が事故に遇うことになります。
国内で交通事故にあう確率が、約0.004%=約2万5千回に1回なので、海上輸送はかなり安全な輸送手段であると言えるかもしれません。
しかし、WSCの報告書は、海上で失われたコンテナの数を記載しているだけで、雨や海水が入ったことによる貨物の濡れや荒天による破損は含まれておりません。
上の写真を見て心配に感じるのであれば、迷わず保険に入っておく事をお勧めします。
※出展:WSC : Survey Results for Containers Lost At Sea – 2014 Update より