FOBやFCA条件で輸出する場合にも保険は必要です!

国際取引で使用されている貿易規則インコタームズ2010では、5つの貿易条件(FCA, FOB, FAS, CFR, CPT)で契約をした場合、輸送中の危険負担は買主側にあると記述されております。これら5つの貿易条件は、面倒な輸送保険を付保する手間が省けるので売主側が好んで使います。しかし、売主の保険付保が全く不要ということではありません。貨物が毀損した場所によっては売主が責任を取る必要があるので注意が必要です。

売主の輸送保険付保が不要な5つの条件

・FCA(Free Carrier):運送人渡条件
・FOB(Free On Board):本船渡条件
・FAS (Free Alongside Ship):船側渡条件
・CFR(Cost and Freight):運賃込条件
・CPT(Carriage Paid To):輸送費込条件

上記、5つの貿易条件において、買主である海外のお客様が引き受ける危険負担は、日本国内において貨物が船や運送人に引き渡された以降です。つまり、貨物を船や運送人に引渡すまでの間に事故が発生したらその責任は、買主でなく売主になります。

考えられる事例としては、自社から買主指定のコンテナヤードに貨物を輸送する時にトラックが交通事故を起こす場合などがあります。
よって、売主は、貨物を出荷する前に、輸出FOB保険と呼ばれる買主側に引渡すまでのリスクをカバーする損害保険を付保しておく必要があります。貨物を動かす以上は、破損や事故のリスクがあります。精密機器などはちょっとした振動で壊れてしまう場合があるので、移動距離が短いからといって過信せず輸出FOB保険に入っておく事をお勧めします。

輸出取引で使われる貿易条件の説明

FCA(Free Carrier):運送人渡条件

買主と取り決めた場所で、買主が指定する運送人に貨物を引渡す条件です。
輸出通関手続の義務は売主にあります。また、売主の敷地内において、輸送人のトラック上で貨物を引渡す場合は、積込み責任は売主が負います。

FOB(Free On Board):本船渡条件

買主が指定する船舶の船上に貨物を置いた時に引渡しが完了する条件です。
輸出通関手続の義務は売主にあります。

FAS (Free Alongside Ship):船側渡条件

買主が指定する船舶の側面にて、貨物を引渡す条件です。輸出通関手続の義務は売主にあります。

CFR(Cost and Freight):運賃込条件

相手先の輸入港までの運賃込みの条件です。貨物の危険負担は、FOBと同じ輸出港において買主が指定する船舶の船上に貨物を置いた時に移転します。輸出通関手続の義務は売主にあります。

CPT(Carriage Paid To):輸送費込条件

FCA条件に、輸入国の指定地までの運賃が含まれた条件です。貨物の危険負担は、FCAと同じで買主が指定する運送人に貨物を引渡した時に移転します。輸出通関手続の義務は売主にあります。コンテナ船などの輸送でよく使われます。