FOB、CFRを使う時に輸出者として知っておくべき事
海外と輸出契約をする場合に、FOB(Free On Board/本船渡条件) またはCFR(Cost and Freight/運賃込条件)を使っている方は多いと思います。どちらの条件にしても海上輸送中の保険は買主である輸入者側が掛けることになるので、貿易実務に精通した人が少ない企業が輸出する場合は、利用しやすい貿易条件です。
しかし、FOBとCFRで契約した場合、御社から出た貨物は、買主が指定した船上で引き渡されるまでは無保険状態となる為、万が一、船上に置く前に貨物が破損した時は、輸出者である御社が責任を負わないといけない事を理解しておく必要があります。
輸出FOB保険でもカバーできない輸出者のリスク
この船積みまでの輸出者リスクをカバーする保険として、輸出FOB保険(ゆしゅつ・えふおーびーほけん)があります。この輸出FOB保険を掛けずに出荷する企業も多くいますが、高価な精密機械や装置などを輸出する時は、万が一を考えて付保することをお勧めします。
しかし、この保険を利用するにあたって一つだけ注意しておくことがあります。それは、輸出FOB保険というのは内航貨物海上保険の一種として扱われており、陸上(湖川を含む)にある間の地震・噴火・津波は、補償対象にならないという事です。また保険会社に地震特約のようなオプション保険をお願いしても通常引き受けてくれません。地震が多い日本で、貨物の地震特約は保険会社にとって扱いたくないのかもしれません。
実際に大きな地震が起きたら被害規模はどの程度か?
財団法人海事産業研究所 の報告書【阪神・淡路大震災の海運および海上物流への影響と対応】によると、1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、ポートアイランド港にあった約16,000個 のコンテナの内、液状化による漏れが約3,000個、落下損傷などで約1,000個あり、全体の約25%、4,000個が被害を蒙ったと報告されております。
※因みに、六甲アイランドは、倒壊したガントリークレーン直撃による40個のみで、他のコンテナは外観上ほぼ無傷であったとの事。また、冷凍コンテナは1~1.5日間停電したそうです。
震災直後のポートアイランドの物揚場 写真提供:神戸市
地震は滅多に起きないとは言っても、規模の小さな企業にとって、何千万または何億円もの貨物が一時的にせよ無保険状態になることは少し怖い気がします。
FCAなど輸出者にとってリスクの少ない貿易条件を使う事をお勧めします。