輸出通関で非該当証明書(ひがいとうしょうめいしょ)が要るって言われたけど一体何?

日本国政府は、海外のテロリストや大量破壊兵器の製造者などに利用される(もしくは可能性がある)製品の輸出を規制しており、もし該当する製品を輸出する場合は、経済産業大臣の許可が必要となります。

このブログをお読みの皆様が輸出される工業製品の多くは、兵器の開発、製造、使用、加工に使われるような物ではないので、非該当の製品になります。

しかし、通関士に口頭で非該当と言っても駄目で、書面上で該当しないことを宣言しないといけません。この時、通関に提出する書類を非該当証明(ひがいとうしょうめいしょ)と呼びます。
該非判定書(がいひはんていしょ)と言う人もいます。

名前だけ聞くと、面倒くさそうな書類に感じますが、輸出貿易管令の別表1という定められたリストに基づいて判定すれば良く、記載する内容もシンプルなので、実際に製造した人であれば簡単に作れます。わざわざ外部の機関で認定をしてもらう必要はありません。

ただし、意外なものが規制対象になっている場合があるので、恐らく非該当だろうと勝手に決めつけて非該当証明書を発行するのは危険です。本当に該当しないか、必ずリストで確認した上で該非判定を行いましょう!

どんな製品を輸出すると非該当証明書を要求されるの?

殆どの産業機器・機械・加工部品は、非該当証明を要求される可能性があると考えましょう。

特に、超高精度な加工がされた製品であったり、精密機器や制御機器など核兵器等の兵器開発、製造、使用、加工に用いられる(または可能性が高い)製品は、確実に非該当証明書の提出が要求されます。

言われて出すのは時間の無駄なので出荷時に必ず非該当証明書を添付しておきましょう。

輸出規制の対象となっている製品は、どこに記載されているの?

輸出規制の対象製品については、輸出貿易管令の別表1にある第1項から第15項に記載してあります。

材質、性能、仕様によって細かく定義されているので詳しい事については、是非、原文を確認いただきたいです。

規制品目の概要は、以下の通りです。

第1項.武器—鉄砲、軍用の細菌製剤、軍用探照灯等
第2項.原子力—核燃料物質、原子炉、人造黒鉛、直流電源装置
第3項.化学兵器—毒性物質の原料、耐腐食性の熱交換器、弁、ポンプ、反応器、貯蔵容器、細菌製剤の原料生物、クロスフロー濾過器、凍結乾燥器、密封式発酵槽等
第4項.ミサイル—ロケット、無人航空機に使用できる集積回路、加速度計、風洞、振動試験装置等
第5項.先端素材—超電導材料、有機繊維、セラミック複合材料等
第6項.材料加工—数値制御工作機械、ロボット、測定装置等
第7項.エレクトロニクス—高電圧用コンデンサ、集積回路、半導体基板、 大容量電池、周波数分析器等
第8項.電子計算機 —高性能電子計算機
第9項.通信—暗号装置、特殊な通信装置等
第10項.センサー—センサー用光ファイバー、光学機器、特殊カメラ等
第11項.航法装置—慣性航法装置、衛星航法システムからの電波受信装置等
第12項.海洋関連 装置—潜水艇、水中用のカメラ・ロボット等
第13項.推進装置—ガスタービンエンジン、人工衛星、無人航空機等
第14項.1項以外の軍需品—粉末状の金属燃料、電気制動シャッター等
第15項.機微品目—電波の吸収材、水中探知装置等

本ブログは、産業機器・機械・部品向けのメーカー様向けなので、読者に関係する可能性が高い項目を赤くマークしました。
御社が輸出する製品が、この分野に関わっていそうな場合は、必ず輸出前に非該当証明書を用意しておきましょう!

規制される製品内容については、経済産業省―安全保障貿易管理の貨物・技術マトリクス表をご参照ください。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html