埼玉県の公社会員として、久しぶりに講演会に出席した。
講師は、渋沢健氏。渋沢栄一(しぶさわ えいいち)の子孫で現在は投資会社を経営されている。

若い人にとって、『渋沢栄一』は馴染みのない人かもしれないが、

日本初の銀行である第一国立銀行(後の第一勧業銀行、今のみずほ銀行)の初代頭取であり、東京ガス、東京海上火災保険、王子製紙(現王子製紙・日本製紙)、田園都市(現東京急行電鉄)、秩父セメント(現太平洋セメント)、帝国ホテル、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所、キリンビール、サッポロビール、東洋紡績、大日本製糖、明治製糖など、今の日本を代表する企業の設立に関わっているすごい人だ。日本資本主義の父とも呼ばれる。

明治の有名人は、長州藩や薩摩藩が多いが、『渋沢栄一』は埼玉県深谷市の生まれであり、埼玉県に住む私にとっては憧れの存在でもある。

講演冒頭、渋澤 健氏は、下の言葉をモニター写して話をされた。

History doesn’t repeat itself, but it does rhyme.

あのトム・ソーヤーの冒険を書いた マーク・トウェイン(Mark Twain)さんがの有名な言葉らしいが、私は初めて聞いた。

日本語に訳すと、

『歴史は繰り返さないが、韻を踏む』

なるほど!実にいい言葉だと思う。

私は、『歴史は全く同じ事柄が間隔をおいて起きるのではなく、性質的に似たような事柄、つまり自然界のバイオリズムのようなものがある』と解釈した。

渋沢健氏に話では、
日本には30年周期のリズムがあり、バブル崩壊した90年から30年間続いたマイナス的なイメージのリズムがそろそろ終わり、2020年から新しいリズムに入るそうだ。

確かに、東京オリンピックもあるし、日本には、新しいリズムが始まる気配がある。

しかし、それはバブル景気のようなものではなく、テクノロジーやインタネットが生み出す新しい時代の幕開けになるだろう。

これからの時代のキーワードとして、
OR(AかBか)ではなく、AND(AもBも)の力が求められるとそうだ。

日本の製造業に求められるAND(AとB)の力とは何か?

それは、Utility”機能”とSignificance”意味”になるとのこと。

例として、トイレの掃除束子の話がある。
トイレ掃除束子は、機能的にはプラスチックの棒にたわしを付けただけ。100円ショップでも売られており、機能的な価値だけで売ろうとすれば、いくら頑張っても、人件費が高い日本で作っていては利益は出ない。

しかし、そこにデザインという意味を付ける事で、付加価値が生まれ、一本数千円でも売ることが可能になる。米国アップルのiPhoneは、携帯電話という製品に新しい意味を創り出した。アップルのようなモノづくりの考え方は、日本の製造業が目指していく方向性を示している。

すばらしい技術者がたくさん集まる日本は、機能作りにおいては、世界一だ。しかし、機能でだけで売れる時代は終わった。これからの日本のものづくりは、製品に対する機能だけでなく、その製品にどんな意味を持たすかが重要となると思う。