中国での自社製品在庫
以下のような目的で、日本から製品を輸出することを志向する中小企業が、中国にて製品の在庫を持つことがあります。
②注文ごとにかかる、日本から製品を発送する際の高額な送料を回避するため
しかし、もともと中国での販売量が少ない中小企業にとって現地で在庫を持つことは、時にやっかいな問題ともなります。
そこで、今回は中小企業の中国での製品在庫について考えてみたいと思います。
どのアイテムを在庫するか
中国で在庫を持つには、在庫を持つべき製品アイテムを売れ筋に絞る必要があります。しかし、この絞り込みは以下の理由により困難となることがあります。
•中国で何らかの売れ筋が存在はするが、そこでの販売量は日本での販売量よりずっと少ないので、販売データが十分とは言えず、結果的に正確な絞り込みができない
もっとも、上述の場合とは逆に、自社のケースが以下のようなものに該当していれば、在庫はそれほど難しくないでしょう。
•もともと自社の製品ラインのアイテム数自体が少ない
中国で在庫を持つことによる負担
日本国内でのみ在庫を維持管理していた状況から、新たに中国で在庫を持つこととなった場合、以下のような新たな費用負担が生じます。
•中国の在庫拠点までの、在庫製品の国際運送費と前払い関税
•中国での在庫倉庫のレンタル費用
•中国での在庫の品質維持コスト
•中国での在庫の管理費用(棚卸費用、倉庫内での整頓費用など)
中小企業にとって在庫がどの程度回転するかが定かではない状況でこれらの費用を負担することは簡単ではないでしょう。
一方、これらの在庫にかかる費用を「製品の買い取り」という形で中国の販売代理店(第三者のパートナー企業)が負担するケースもありますが、結局のところ、それは自社が負担するか、相手に負担させるかの問題であり、もし相手に在庫を買い取らせる場合においても相手とWin-Winの関係が作れなければ、その相手と共に長期的なビジネスを続けることは難しいでしょう。
もし中国の販売代理店が買った在庫が順調に販売できなかった(さばけなかった)場合、相手は自社に買い取りを要求してくるかもしれません。
中国では在庫を持たない選択
このように、中小企業にとって中国で在庫を持つことは少なからずリスクとなり、難しい問題となっています。中国で売り切ることができると確信が持てる製品以外については、まず直ぐに現地在庫を持つという選択には踏み切らず、
BtoB企業が行うような、中国国内での保税倉庫の活用の可能性を探る
可能な限り物流リードタイムが短縮できそうな物流業者を探す(業者により中国での通関にかかる時間は結構違う)
中国での販売データの取得の強化と、新たなデータ分析手法の開発する
などを通じ、可能な限りの最適化を模索することが現実的な方向性となるでしょう。
◆まとめ◆
前述の通り、多くの場合、中小企業にとって中国で在庫を持つことは簡単ではありません。
もともと在庫を持つこと自体が「在庫による販売機会の損失の回避」と「在庫を持つことによる費用負担の発生」のトレードオフであるとも言えるので、これは当然といえば当然です。
一方、国際運送業者の運送スピードの向上など、近年グローバルビジネスを取り巻く環境も大きく変化していますので、まず旧来の物流手法の見直しを行ってみることが有益であると思います。