中国の外注先で製品不良が発生した時は、8Dレポートを依頼しましょう!
ここ数年で中小企業でも機械部品や電子部品を中国企業に製造委託する企業が増えてきました。依頼した通りの製品が納品されていれば良いですが、実際のビジネスでは、いろいろとトラブルが起きるものです。
数量間違いや出荷書類の記述ミスなどは担当者に指摘して注意すれば良いですが、納品された製品に不良品や不具合品が紛れていた場合は、組織的に不具合の根本原因を突き止め、対策を施し、出荷前検査を強化してもらう必要があります。
その時に日本企業が頭を悩ますのが、どのように中国メーカーに指示をすれば良いかです。感情的になって怒ったところで問題の解決にはなりません。本当に再発を防止させるためには、中国メーカーの組織全体で原因究明と対策案を検討してもらい報告してもらう必要があります。 そのためにとても役立つのが、8Dレポートと呼ばれる定型フォーマットを使って報告してもらう方法です。
8Dレポートって何?
8Dレポートとは、アメリカのフォード社によって考案された組織による8つの分野により問題を解決する手法です。 英語では、8D(s) Report または、8D(s) Problem Solving Reportなどと呼ばれます。 中国メーカーでも品質管理について理解があれば、8D報告書を提出するように依頼すれば対応してくれます。
8Dの基本的な考え方は、第二次世界大戦中、アメリカ政府が採用していた「軍事基準1520」と呼ばれる不良品の修正行動と配備システムの構築にあたって作られてと言われております。これをフォードモーターが問題解決法として採用し1987年に8D解決法と命名しました。 当時のフォードは、動力システムで繰り返し不具合が発生し大問題になっていましたが、この8D解決法の採用が難題解決に大きく貢献しました。以降8Dは、フォードの供給先で広く採用され、組織的な問題解決プロセスを必要とする自動車部品メーカー、半導体メーカー、電子部品製造メーカーの不具合対応方として世界に普及しました。
8Dレポートを使った問題解決方とは?
8つの分野により問題解決に体系的にアプローチします。
D0:準備と緊急対処措置
問題を解決するための計画と前提条件を決定し、緊急対応処置を実施
D1:解決チームの編成
問題となっている製品やプロセスに知識を持つ関係者で解決チームを立ち上げます。
D2:問題の定義と記述
時間、頻度、程度など定量的な用語を使い誰が、どんな製品がどのような問題を起こしたか詳細に記述し、問題を明確にします。
※利用可能な手法:FMEA分析、5W3Hなど
D3:暫定対策の実施
恒久対策が実施できる前に、問題を顧客から隔離するための暫定処置を実施します。
※利用可能な手法:FMEA,DOE、PPMなど
D4:根本原因の確定と検証
統計ツールを用いて、問題の発生原因となっている事象を特定するとともに、問題発生時に気づかなかった原因も説明します。
利用可能な手法:5Why法、石川ダイヤグラムなど
D5:恒久対策の確定
問題を根本的に解決するための対策を確定します。
利用可能な手法:FMEAなど
D6:恒久対策の実施と検証
恒久対策の実施計画を策定し、実施を行い、恒久対策の有効度を確認します。
利用可能な手法:統計コントロール
D7:再発防止策の実施
管理システム、オペレーティングシステム、作業慣例、設計、規則などを見直し、問題の再発を防止します。
D8:解決チームへの祝福
対策チームの集団的努力を認識し、公式の場でチームを労います。
8Dを使うメリットとデメリット
8Dのメリット
①顧客とメーカーで課題に対して共通の認識を持つことができる。
②問題の根本原因を発見し、その問題を取り除くための恒久対策を実行することができる。
8Dのデメリット
8Dによる問題の解決の流れを訓練する必要がある。データを収集し分析する能力が必要となる。