倉庫会社を使うときのリスク

みなさまは自社の商品をいつもどこに保管していますか?

事務所内や自社所有の倉庫・工場等の自社施設内に保管している方もいると思いますが、寄託契約を結んだ倉庫会社の倉庫に商品を預けている場合も多いのではないでしょうか。

倉庫会社は責任を持ってみなさまの貨物を預かっており、何かあった場合は契約等により損害賠償を行う事となっている為、みなさまも安心して商品を預けていると思います。

ですが、倉庫会社が責任を免れる損害が有る事をご存知ですか?

倉庫会社はどんな責任を有しており、どんなときに責任を免れるのか、また荷主であるみなさまはどの様な対応をする必要が有るのかに関して確認してみましょう。

1.倉庫会社の預かっている商品に対する責任

みなさまから商品を預かった倉庫会社にはその商品を安全に保管し、管理する「善管注意義務」が有ります。

国交省のHPに掲載されている、倉庫会社の寄託契約に関して記載された「標準倉庫寄託約款」にも賠償責任について、以下の通り記載されています。


出典:「標準倉庫寄託約款(甲)」(国土交通省)(http://www.mlit.go.jp/common/000052292.pdf

なお、約款では倉庫会社の故意または重大な過失によって生じた事故に限るとありますが、実務では以下のような重大な過失とは言えないケースでも倉庫会社が損害を賠償する事があります。
 

・倉庫会社の従業員が商品を持ちあげた際に、誤って商品を落としてしまった。
・倉庫会社の従業員がフォークリフトの操作を誤り商品に衝突してしまった。
・夜間に倉庫に空き巣が入り商品が盗まれてしまった。


2.倉庫会社が責任を免れるケース

上記のように商品を管理する責任は倉庫会社にありますが、台風や地震などと言った天災や、商品の時間の経過による劣化等の倉庫会社がどんなに安全管理を行っていたとしても防ぐことが出来ない事象が存在します。

このような事象により起きた損害に関しては、倉庫会社は責任を免れると、「標準倉庫寄託約款」の免責事由に記載されています。

主に以下のような場合がこの倉庫会社が損害を免れるケースに該当します。

・倉庫会社は適切な空調・温度管理を行っていたが、保管期間が1年と長く、時間の経過により商品に錆が発生してしまった。
・商品を梱包していた段ボール耐久自体に問題が有り、荷崩れが起きてしまった。
 ・台風で窓ガラスが割れ、雨が吹き込んだことで商品が濡れてしまった。
・地震により倉庫内で荷崩れが起きてしまった。


3.倉庫会社が責任を免れる事象に備えるには

上記2に該当する事故に関しては、包括保険や火災保険といった商品に対し発生する偶然・外来の事故を補償する保険を荷主として手配する必要が有ります。

今年の7月から9月にかけて猛威を振るった西日本豪雨や台風の損害は記憶に新しいかもしれません。多くの倉庫が大雨や台風により損害を受け、倉庫によっては屋根が吹き飛び、倉庫内の貨物が水浸しになったといった報告もありました。

これからの季節は大雪による事故も予想されるので、この機会に倉庫会社との契約内容と、みなさまが現在契約している保険の内容をチェックしてみては如何でしょうか。

これら5つの条件で輸出を行っている、または今後輸出を検討している皆様の中で、貨物の危険負担移転までの間について何か気になることがありましたら、ぜひ双日インシュアランス株式会社までご相談ください。