輸入時にかかる関税と輸入消費税

製品の課税価格が1万円を超えている場合、関税および輸入消費税が課せられます。

関税については、製品によって関税率が異なりますが、輸入消費税は、製品に関係なく一律の税率です。ちなみに、輸入消費税とは、内国消費税と地方消費税のことで2019年1月時点で約8%(※1輸入消費税)です。

中国から電気部品を輸入する時の税金(関税)の調べ方

1:輸入消費税
2019年1月時点の輸入消費税は以下の通りです。
➀内国消費税=端数処理前の輸入品CIF価格×6.3%(100円未満切り捨て)
➁地方消費税=内国消費税額x17/63(100円未満切捨て)
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➂輸入消費税=➀+➁ ※おおよそ8%。課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、お酒やタバコなど特別税が課せられる品物以外は、関税および消費税が免除されます。

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輸出品を日本に戻す場合

海外に送った製品を日本に戻す場合、日本から輸出した際の性質・形状に変化を加えられることなく再び輸入される場合は、再輸入免税が適用され、関税及び輸入消費税が免除されます。(関税定率法第14条第10号)

ここで大事なのは、輸出許可を受けた際の性質・形状に変化が加えられていないという条件です。

再輸入免税の申請を受けた輸入地の所轄税関は、輸入者から提出された輸出時の書類を見て本当に性質・形状が同じものが戻ってきたか確か判断します。もし、証明できないない場合は、再輸入免税は却下されます。

また、一度日本に輸入した製品を輸出し再び日本に戻す場合は、最初に日本に輸入した際に輸出を条件とした関税の減免等を受けている場合も、再輸入免税は却下されます。

輸出時の書類が重要になるので、日本に戻す予定がある貨物を海外に送る時は、EMS、DHL、FEDEXなどの簡易国際宅急便ではなくフォワーダーを使い再輸入時に問題のない輸出書類を残しておくことをお勧めします。

【関税定率法第14条第10号】
本邦から輸出された貨物でその輸出の許可の際の性質及び形状が変わつていないもの。ただし、第十七条第一項又は第十八条第一項の規定により関税の免除又は軽減を受けた貨物、第十九条第一項又は第六項の規定により関税の軽減若しくは免除若しくは払戻し又は控除を受けた貨物を原料として製造した貨物、第十九条の二第一項の規定により関税の免除を受けた場合における同項の外国に向けて送り出した製品及び同条第二項若しくは第四項、第十九条の三第一項若しくは第三項又は第二十条第一項、第二項、第四項若しくは第五項の規定により関税の払戻し又は控除を受けた貨物を除く。

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再輸入免税の手続き

輸入申告書に再輸入免税の適用を受けようとする旨を記載します。

輸入申告の際に、輸入地を所轄する税関長に貨物の再輸入される物品が本邦から輸出されたことを確認するために輸出許可書または税関の証明書を提示します。ただし、貨物がこの規定に該当することを証明する他の資料がある場合は輸出許可書等の提示は不要です。

ポイント

①再輸入免税には、輸出してから戻すまでの期間は指定されていません。また、輸出申告時において事前届け出をする決まりもありません
③加工又は修繕のため輸出された貨物の減税では、輸出時に申請が必要であり、輸出の許可の日から1年以内に日本に戻す必要があります。

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部品を海外で修理する場合

海外製の電子部品を購入したが壊れていたため、海外メーカーで修理する場合は、再輸入免税の適用はできるのでしょうか?
電子部品は、海外に出した時と日本に戻すときの形状は同じです。問題は、修理の場合は、性質が変わっていると見なされるのかです。

税関に問合せたところ、この場合は、加工又は修繕のため輸出された貨物の減税と判断される場合が高いとの事です。

【再輸入免税】と【加工又は修繕のため輸出された貨物の減税】の3つの違い

①【再輸入免税】が関税、輸入消費税が免除(無し)となるのに対して、【加工又は修繕のため輸出された貨物の減税】は、海外において加工や修繕により発生した付加価値部分の関税、輸入消費税を支払う必要があります。
②輸出の際にも【再輸入免税】はとくに手続きしておかなくても適用されますが、【加工又は修繕のため輸出された貨物の減税】の場合は、輸出時の輸出申告書に加工又は修繕のため輸出する旨を明記し、輸入の予定時期、輸入の予定地を記載する必要があります。
③【再輸入免税】では、製品を輸出してから日本に戻すまでの期間について規定はありませんが、【加工又は修繕のため輸出された貨物の減税】では、輸出許可の日から原則として1年以内に日本に戻す必要があります。
【関税定率法第11条】
加工又は修繕のため本邦から輸出され、その輸出の許可の日から一年(一年を超えることがやむを得ないと認められる理由がある場合において、政令で定めるところにより税関長の承認を受けたときは、一年を超え税関長が指定する期間)以内に輸入される貨物(加工のためのものについては、本邦においてその加工をすることが困難であると認められるものに限る。)については、政令で定めるところにより、当該輸入貨物の関税の額に、当該貨物が輸出の許可の際の性質及び形状により輸入されるものとした場合の課税価格の当該輸入貨物の課税価格に対する割合を乗じて算出した額の範囲内において、その関税を軽減することができる。

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輸入消費税は控除対象

企業が納める消費税は
(売上で受け取った消費税)― (仕入や経費で支払った消費税)=(納税する消費税)
です。

輸入消費税は、経費で払った消費税に該当します。よって、納税する消費税から支払った輸入消費税を控除することが可能です。

輸出売上が多い企業など、売上で受け取った消費税がそもそも少ない企業は、納税する消費税がマイナスとなる場合がありますが、その場合は、マイナス分は還付される場合があります。
※ただし、関税の控除はありません。詳しくは、税理士など専門家に確認ください。

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