商品を海外へ発送する時、輸出者(荷送人)は、インボイス(INVOICE、送り状)と呼ばれる書類を用意する必要がります。
インボイスは、①どんな貨物を、②いくらで、③誰から誰に送るのかを明記した書類であり、税関での輸入申告、検査、課税価格決定などで必要となる重要な書類です。

無償提供品のインボイス記入方法

①無償インボイス(No Commercial Invoice)の書き方

無償インボイス用に決まったフォームはありません。
通常の出荷で使用している有償品のインボイスに必要事項を記入し、最後に合計価格の近くなど目立つ場所に、商業価値のない製品という意味の【NO COMMERCIAL VALUE FOR CUSTOMS PURPOSES ONLY】、【NO COMMERCIAL VALUE】または【N.C.V】と記載すればOKです。
なぜ、このような記述が必要かというと、国によっては、特定の条件を満たす無償品については、関税を課さない場合があるからです。

No Commercial Invoice記入例

②インボイスに記載する製品価格について

インボイスに記載する製品価格は、通常輸入貨物の取引価格を記載します。
しかし、評価サンプル、不具合対応の代替品などタダ(無償)で発送する場合、製品に取引価格が存在しません。
この場合、貨物の本来の価値を記載します。
本来の価値とは、同種又は類似の貨物の取引価格や販売価格、製造原価などを参考にして決めます。
タダ(無料)で送ると言っても商品には必ず価値があるので0円はNGです。

取引価格が存在しない場合の価格決定方法
日本税関の課税価格計算方法:
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/keisan_index.htm

関税定率法の第四条の二、第四条の三の第1項、第2項:
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=143AC0000000054

無償品(No Commercial Value)の発送でよくある3つの間違い

NO COMMERCIAL でも関税はかかります。

ときどきNO COMMERCIAL VALUEで出荷すると輸入時の関税や消費税が免除されると勘違いしている人がいますが、これは間違いです。
日本を含め海外の殆どの国が、有償無償に関わらずインボイス価格に対して、関税と消費税が課税します。

日本では、課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます。
ただし、消費税以外のその他の内国消費税(例えば、酒税、たばこ税等)が課せられる場合は、それらの税は免税の適用がありません。
①1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの。
ただし、1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合には、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計したものになります。
②郵便物については、1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの
ただし、同一差出人から同一名宛人に、同一時期に分散して郵送されたもの等(例えば、郵便物の重量制限により分割して郵送されたもの)は、当該分割されたすべての郵便物の課税価格を合計したものになります。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1006_jr.htm

NO COMMERCIALでも製品の正しい価値を記載する必要があります。

タダ(無料)で送る品物だからと言って、本来の商品価値を偽ってインボイスに記載することは、アンダーバリューと呼ばれる違法行為です。悪質な場合は、懲役または罰金刑が科せられます。

有償製品と同梱する場合も、インボイスに記載必要です。

有償製品と同じ箱に無償製品を入れて送る場合に、無償製品をインボイスに記載せずに送るのは違法です。
無償製品も正しくインボイスおよびパッキングリストに記載して出荷しましょう。