海外ビジネスにおける4つのステップ

海外のお客様との商談は、通常4つのステップで進んでいきます。その中でいちばん重要なのが、申し込み(OFFER)です。このとき、売り手のあなたは、どんな条件で売りたいのかオファーシート(OFFER SHEET)と呼ばれる書面を作成し、買い手であるお客様に伝えます。国際ビジネスでは、オファーシートに書いた内容が、通常そのまま契約内容になります。
よって、オファーシート作成時は、記載ミスや漏れがないよう細心の注意を払う必要があります。いったん契約を結んでしまうと条件変更は簡単ではありません。最近は、パソコン上でオファーシートを作り、そのままPDFで送る方も多いですが、パソコンのモニター上での確認は、どうしても記載ミスに気付きにくいので、初めてのお客様や金額が大きな案件は、面倒でもオファーシートを印刷して紙で確認することをおすすめします。

1.勧誘(Proposal)

お客様にカタログや仕様書などの製品資料を送ったり、お客様を訪問しプレゼンを行なったりして、自社製品の購入を促します。

2.引き合い(Inquiry)

お客様からの商品の問合せになります。最近ではE-mailでの引き合いがほとんどです。ときどき、メールのタイトルにRFQ と書いているお客様がいますが、これは、 Request For Quotation(見積依頼書)の略です。

3.申し込み(Offer)

オファーシートと呼ばれる書面に取引条件(品名、品質、仕様、数量、価格、納期、決済条件)などを記載し、お客様に売るための条件を伝えます。

4.承諾(Acceptance)

オファーシートを受けたお客様が条件を承諾すれば契約は成立します。しかし、実際のビジネスでは、お客様がそのまま承諾することは少なく、価格や取引条件などについて変更依頼があります。これをカウンターオファー(Counter Offer)と呼びます。このお客様からのカウンターオファーに対し、売り手のあなたが承諾したら契約が成立します。

オファーシートに必ず記載する12項目とは?

オファーシートに必ず記載する項目は、以下の通りです。とくに注意すべき項目は赤字にしております。
1.オファー発行主の社名、住所、連絡先
2.オファー掲示先の社名、担当者名、住所、連絡先
3.オファー日付
4.オファー番号
5.品物の名前、型式
6.数量(※単位に注意しましょう!)
7.価格(※初めての方はまずは円建て!)
8.貿易条件(※初めての方はFCAがおすすめ!)
9.支払条件(※初めての方は前金で!)
10.納期(※起点日を明確に!)
11.梱包方法(※初めての方は、自社の標準梱包で!)
12.オファーの有効期限(※あまり長くしないように!)

オファーシート例
オファーシートの書式は定まったモノがありません。他社のシートを参考にしながら、あなたの事業にあう書式を作りましょう。大事なのは、見やすい事です。

リスクを減らすオファーシートの書き方

オファーシートには、通常、以下のように有効期限を記入します。

Offer Validity : October 23, 2017 at Japanese Standard Time

ここで注意しないといけないのが、有効期限内にお客様がオファーシートを承諾すれば、契約が成立するということです。実際の商談では、市況の変化や為替の変動などにより一度出したオファーを変更したい思うことがときどき起きます。もし、オファー内容を変更する可能性があるときは、お客様が承諾しても契約は成立しないことをオファーシート上に明記しトラブルを回避します。このようなオファーは、サブコン付きオファーとも呼ばれており、よく使われる条件としては、3つあります。

1.Offer Subject to Prior Sale または、Offer Subject to being unsold

先売り御免(売り切れ御免)オファー:製品の販売数量が決まっている場合などに使います。お客様から注文を受けた日に売り切れていたらオファーの効力はなくなります。

2.Offer Subject to Our Confirmation

売主確認条件付きオファー:たとえお客様からオファー承諾を受けても、売主側であるあなたが確認しなければ、契約は成立しません。

3.Offer Subject to Market Fluctuations

市場不確定オファー:急激な為替変動が発生した場合など、市況変化が起きた時にオファーシートに記載した条件の変更を申し込むことができます。

<条件を書く場所>
オファーシートのヘッダー部または条件記述部などお客様が見やすい場所にサブコン付きオファーであることを明記します。
例:有効期限の場所に書く場合
Deadline for acceptance: October 10, 2017 (subject to prior sale)
または、
We have pleasure in offering our ABC mechanical parts. Offer valid till October 10, 2017, subject to prior sale.

オファーシート(Offer Sheet)とコーテーション(Quotation)

見積書の英語訳は、コーテーション(Quotation)なので、オファーシートではなく、コーテーションと書くべきでは?と思う人もいます。しかし、コーテーション(Quotation)は、商談がまだ具体的になってない価格表(Price List)として使われる場合が多く、契約交渉の場面では、あまり使いません。
尚、価格通知としてQuotationやPrice Listをお客様に送るときは、これは正式な申し込みではありませんという一文を付け加えておくとより安全です。

文章例:
This quotation (This price list) is for your information. As requested, we are pleased to send you our offer for any item listed herein.
「本見積書(本プライスリスト)は参考価格です。要望があれば、記載アイテムについて正式なオファーを行います。」