増える日系企業専門の人材派遣業
長年、日系企業で働いている中国の友人によると、15年ほど前まで、中国には日系企業向けの人材派遣会社は、ほとんどなかったが、ここ数年で急激に増えているという。
なぜか?それは日系企業の事業が好調で求人が増えたからではなく、雇用が安定しなくなったからだそうだ。
とくに、中国の首都北京では、大企業を含めて多くの日本企業が、事務所を縮小または閉鎖して上海に事業拠点を移しており、行き場を失った中国人が職を求めて日系企業専門の人材派遣会社に集まっている。
30代であれば、これまでのキャリアを活かし国営企業へ転職する道もあるそうだが、40代になると職探しは簡単でない。また、一人っ子政策を行っていた中国では、働き盛りでありながら、親の介護でフルに出勤ができない人も多くいる。
薄らぐ日本企業の魅力
私が、中国に住んでいた1999年前後は、高い技術力を保有し終身雇用制度の日本企業で働くことを夢見て、多くの中国人が一生懸命に日本語を勉強していた。そして、日本企業に入社できた中国の友人は、自分の未来を明るいものだと信じ誇らしげだった。
しかし、いまは違う。厳しい国際競争のなか、日本企業に終身雇用を維持する余裕はなく、風通しの悪い日本独特の閉鎖的な文化だけが生き残ってしまった。
友人は言う。
しかし、いまは正直、日本人との信頼関係が結びにくい。日本企業は、最前線で働く営業よりも、人事や法務担当に高い給与を支払っているのをみんな知っている。
その理由は簡単、なにか労務でトラブルがあれば人事が交渉し、裁判になれば法務の人間が必要だからだ。だから、弱いものたちは、自分たちのネットワークを築いて生活を守るしかない。。。。
国は違えども、人が思うことはただ一つ“大事な両親や家族を守りたい”ただそれだけです。
今、日系企業で働く、中国人の多くは、WECHAT(日本でいうLINE)などのSNSで横のつながりを構築しているそうだ。
解雇されそうになった時にどのように交渉すべきか、勤務年数からもらえる退職金はどのくらいかなどを日々情報交換しているという。裁判になったときの話も相談できるとのこと。
私の友人は、今日も日本企業のために一生懸命頑張っている。しかし、自分の子供には日本語を学ばせるつもりはないという。