輸出または輸入取引において、よく使われる決済通貨は何でしょうか?

皆さんは海外企業と取引する時、どこの国の通貨を使いますか?
国際貿易で使われる決済通貨は、契約当事者同士で決める事になります。意見が食い違った場合は、交渉力がある側の希望通貨が採用されるのですが、貿易経験が少ない方は、出来るだけ為替リスクを背負わない日本円で取引したいところです。

そこで気になるのが、日本企業は通常どんな通貨で取引しているかです。
実は、財務省が年二回貿易取引通貨別比率というデーターを発表しており、日本から輸出する場合と、日本へ輸入する場合の取引通貨の比率を見る事ができます。

貿易で使われる通貨

出展:財務省 平成28年 7月25日 貿易取引通貨別比率(平成28年上半期)

日本からの輸出の場合

日本からアジアの国へ輸出する場合、取引通貨は、米ドルが49.2%、日本円が45.8%となっており、ほぼ半々の割合です。興味深いのは、中国元での取引が1.9%もあるということです。割合としては少ないですが、1年前の平成27年上期が1.5%、2年前の平成26年上期が1.2%であり、着実に中国元での決済が増えております。
もう一つ、面白い事があります、それは、アメリカ合衆国へ輸出する場合は、米ドルでの決済が85.9%もあるという事です。米ドルは国際通貨であるので、本場のアメリカでは、どうしても米ドルが強くなるのかもしれません。

海外から日本へ輸入する場合

アジアの国から日本へ製品を購入する場合は、72.8%が米ドルでの決済になっております。米ドル口座しかないという理由もあるのかもしれませんが、アジアの企業はあまり日本円を好まないようです。意外なのがEU諸国から日本へ輸入する場合です。56.4%が円での決済で、EUの通貨であるユーロ29.7%よりも比率が高いのです。因みに、米ドルでの決済は10.3%しかありません。

世界で使われている決済通貨は?

日本と海外での取引通貨については上述の通りですが、では、全世界の取引で使われている通貨の割合はどうなっているのでしょうか?
国際銀行間通信協会(SWIFT)が、2016年12月に発表した内容によると、代金決済で使われる通貨のシェアは、米ドルが42・09%でトップで、次がユーロの31・30%です。つまり、世界での代金決済は、7割以上が米ドルとユーロで行われているということです。では、日本円はどうかというと、実は、たったの3.40%です。ドルやユーロと比べると日本の円は国際通貨というには少し厳しいように感じます。因みに、中国元は、2015年12月の調査では、2.31%ありましたが、今回の調査では、1.68%となりシェアを落としました。

用語説明:
国際銀行間通信協会(こくさいぎんこうかんつうしんきょうかい)
国際銀行間の送金や決済をおこなうための高度に安全化された通信ネットワークSWIFT(スイフト)を運営する協同組合のこと。本部はベルギーにある。SWIFTは資金付替や顧客送金、外国為替、証券取引、デリバティブなどで使われている。