船積み前に輸出を取り消した貨物は、輸入手続きをする必要あるか?

国際取引においては、予期せぬ事態に遭遇することがあります。例えば、輸出しようと思っていた製品に問題がある事が発覚し、急遽輸出を取りやめて国内に戻さなければならなくなることもあります。

貨物を輸出する場合の通常の手続き

内国貨物を海外に向けて輸出する場合、通常手続きでは以下の通りになります。

通常の輸出手続き
1.税関へ輸出申告
2.貨物を保税地域等に貨物を搬入
3.税関での審査・検査
4.輸出許可

輸出申告をした後、諸事情で貨物の輸送が中止となった場合は、どうなるのでしょうか?

輸出申告の撤回は、輸出の許可前に限り認められております。
理由は、貨物は、輸出許可が下りるまでは、内国貨物(日本の貨物)と見なされるからです。

では、輸出許可をもらった貨物の輸出に対して、輸出申告は撤回できるのでしょうか?
答えは、NOです。

輸出許可を受けた貨物は、たとえそれが日本国内に置かれていても外国貨物と見なされます。
よって、貨物の輸送を輸出申告を取り止めて自社に戻す場合は、輸入扱いとなり、面倒ですが外国貨物として輸入申告を行って税関に輸入許可をもらう必要があります。
ただし、輸出許可を受けた対象貨物が、船または飛行機に積み込まれる前であれば、貨物の検査、税率の適用は省略され、貿易管理令の適応もありません。

補足:
特定輸出者の場合は、輸出申告書に記載された内容と貨物に相違がある場合や、特定輸出申告ができない貨物の輸出許可を受けていたり、事故などにより輸出貨物が輸出申告書と異なる場合など、関税法の実施を確保する為必要があると認めるときは、特定輸出貨物が輸送する船に積み込まれるまでの間において、税関長が輸出の許可取り消しを認める場合があります。詳細については、以下の関税法第六十七条四第一項をご参照願います。

関税法 第六十七条四第一項

第一項:特定輸出者、特定委託輸出者又は特定製造貨物輸出者は、特例輸出貨物が輸出されないこととなつたことその他の事由により当該特例輸出貨物が輸出の許可を受けている必要がなくなつたときは、その許可をした税関長に対し、当該許可を取り消すべき旨の申請をすることができる。

第二項: 税関長は、前項の規定による申請があつたとき、その他この法律の実施を確保するため必要があると認めるときは、特例輸出貨物が外国貿易船等に積み込まれるまでの間に当該特例輸出貨物に係る輸出の許可を取り消すことができる。