今回は中国の主要な検索エンジンである百度について、日本の中小企業が中国向けのマーケティングを進めるというケースに基づいて考えてみたいと思います。

中国ではGoogleが使えない

すでに周知の通りですが、2010年よりGoogleは中国国内での検索サービスを停止しています。

そのため、仮にとあるウェブサイトがGoogleでのSEOに成功していたとしても、百度のシェアが圧倒的に高く、Googleが使えない中国でそれが通用するとは限りません。

余談ですが、Google以外の検索エンジンがトップシェアを占めている国は他にもあります(韓国のNAVERやロシアのYANDEXなど)。

百度はGoogleとは違うアルゴリズムで動いている

前述の通り、中国の検索エンジンのシェアのトップは百度で、その比率は競合を圧倒しています。

ところで、簡体字による、何らかの同一のキーワードを用いてGoogleと百度で検索をかけた場合、全く違った結果が得られます。

これはGoogleと百度が異なる検索アルゴリズムで動いていることを意味します。

その一方で、日本にいながら百度向けのSEOノウハウに関する情報を見つけることはほとんどできません。そのため、日本企業が百度でのSEOに取り組むことは困難であるといえます。

インデックスに時間がかかる

百度でのSEOが難しいことの理由の一つに、ウェブページのインデックスに時間がかかることが挙げられます。

ウェブページをインターネットにアップしてから数ヶ月の間、百度で検索してもそのページが確認できないことも多々あります。

百度では、サイトマップや手作業での申請、PHPなどでウェブページの存在を百度側に知らせインデックスを促す機能も実装されてはいますが、それらの方法を用いた場合でも、いつインデックスされるのかはケースバイケースのようです。

ICPがないとSEOに不利かどうかは、わからない

中国国内でウェブサイトを開設する場合、ICP(Internet Content Provider / 中国政府によるウェブサイトの登録制度)への登録が必要です。

またICPの取得には現地法人が必要なので、現地法人がない企業は、中国国内にサーバーを設置しウェブサイトを開設することはできません。

その場合でも、中国国外から発信されるウェブサイト自体が中国国内から全く見られないというわけではありませんが、中国本土とその他の地域の間に設けられたファイアーウォールのため、ウェブサイトの表示スピードはほぼ確実に遅くなります。

ではICPへの登録がないウェブサイトは百度向けのSEOを行う上で、不利なのでしょうか?これは明確ではありません。

しかし、実際にICPのないウェブサイトの検索順位を見る限りは特にそのようなことはないようです。

現地法人がなければ、検索連動型広告を自社のみで管理できない

上述の通り、百度向けのSEOで意図的に狙ったパフォーマンスを出すことは困難です。

その場合、最も有力な他の選択肢の一つとして百度の検索連動型広告を利用することが挙げられます。

ところが、もし自社に中国での現地法人がなければ自社で直接この検索連動型広告の管理画面を操作することはできず、広告の一切の管理は百度の日本での代理店に委託することとなります。

検索連動型広告のノウハウは検索エンジンによって多少なりとも変わるので、検索連動型広告に不慣れなウェブマーケティング担当者にとっては、代理店を通じた広告管理は代理店の持つノウハウが活用できるという意味で良いことなのかもしれません。

しかし一方で、その場合は代理店に支払うべき手数料が上乗せされるので、全体のコストはアップします。

まとめ

中国でのウェブマーケティングは他国向けのそれと比べて難易度が高いと言えるでしょう。

しかし百度は中国の検索エンジンとして圧倒的なシェアを握っているので、同国でのマーケティングを成功させるにはやはり上手く付き合っていく必要があると思います。

その一方で、自社製品がBtoC製品に近いものである場合や、口コミによるマーケティングに親和性がある者である場合には、天猫やWeChatなど、アリババやテンセントの提供する様々なプラットフォームの活用を検討することもお勧めします。