中国の新幹線システムは、世界でも最も広範で進んだ高速鉄道ネットワークの1つです。このブログ記事では、中国新幹線の歴史、製造メーカー、主要モデル、乗り心地、座席等級、過去の事故例などについて詳しく見ていきます。

1.中国の新幹線(高鉄)について

中国では新幹線のことを、高鉄と呼びます。正式名称は、中国高速鉄路(China Railway Highspeed)で時速時速250km~400kmで走行する高速電車を指します。

高速鉄道計画は1990年代に始まりましたが、本格的な展開が始まったのは2000年代に入ってからです。2008年、北京オリンピックに向けて開通した北京と天津を結ぶ高速鉄道が、その転換点となりました。その後、中国政府は高速鉄道の拡大に巨額の投資を行い、わずか十数年で世界最大の高速鉄道ネットワークを構築し、2023年末現在、高鉄の総営業距離は45,000Kmに及びます。日本の新幹線の総距離は、約3,300Kmの約14倍、地球一周40,000Kmよりさらに長い距離です。

中国高速鉄道の発展は、主に外国の技術移転と国内の技術革新の組み合わせによって進められました。日本、フランス、ドイツなどの国から技術を導入し、その後、中国独自の技術を開発していきました。この戦略により、現在の中国高速鉄道は高い技術水準と安全性を誇っています。

中国 高鉄プラットフォーム

2.中国の新幹線(高鉄)はどこで製造してるの?

中国の新幹線は主に以下の2つの大手国有企業によって製造されています。

①中国中車股份有限公司(CRRC):

CRRCは世界最大の鉄道車両メーカーであり、中国国内外の高速鉄道車両を製造しています。和諧号や復興号などの主要な高速鉄道列車は、CRRCによって製造されています。ちなみに、最高速度400km対応した最新型CR400AFとCR400BFは、それぞれ青島工場、長春工場で製造されています。

②中国鉄道工業集団有限公司(CREC):

CRCCは主に鉄道インフラの建設を担当する企業ですが、車両の製造にも関与しています。

3.中国の新幹線(高鉄)にタイプ名称はあるの?

日本では、新幹線のタイプに「のぞみ」「ひかり」「こだま」がありますが、中国には、和諧号(わかいごう、Hexie Hao、CRH)と復興号(ふっこうごう、Fuxing Hao、CR)の2タイプがあります。

和諧号は、2007年に導入されました中国初の高鉄で、日本の「こだま」のような存在です。外国の技術(主に日本とドイツ)をベースにしており、最高時速は300-350kmに達します。CRH1、CRH2、CRH3、CRH5などの型式があります。

復興号は、2017年に導入された新型高鉄で、日本の「のぞみ」のような存在です。和諧号に比べて技術革新が施されています。中国国内での独自の技術開発により製造され、より高い速度、エネルギー効率、快適性を提供します。最高時速は350-400kmに達し、CR400AFとCR400BFという型式があります。

4. 中国高鉄と日本新幹線の違い

中国の高鉄も、日本の新幹線と同様に都市間を結ぶ高速電車ですが、実際に乗車してみると日本とは異なるヵ所があります。下記は、作者自身が中国 高鉄に乗車しておもった日本との違いです。

①待合室での待機がある。

日本は、改札を通るとそのままホームに向かうか、待合室で待機するか各人の自由ですが、中国では、乗客は、いったん駅のなかにある大きな待合ロビーで待機して、出発時間が近づくとゲートが開かれ一斉にホームに向かいます。

②手荷物検査や乗車前検査がある。

日本では、乗客に対する検査はありませんが、中国の駅は、手荷物検査と身分証の検査が義務付けられております。検査ゲートはいつも混んでいる場合がおおく、中国で高鉄に乗る場合は、すくなくとも30分前には駅に到着しておく必要があります。※外国人の場合は、身分証の代わりにパスポートが必要になります。

③乗客マナーに文化差がある。

良い悪いは別にして、いろいろな人が乗り合わせる中国高鉄の車内は、日本に比べてとても賑やかです。とくに一般車両に乗ると携帯で話をする人も多く、スマホの動画を大音量で見ている乗客もいます。また、プラットホーム上ではタバコを吸う人がいますが、駅員も見て見ぬふりをする場合がおおく、少し昭和の日本のような感じがします。

④車内で駅弁宅配を頼める。

中国の高鉄では、自身のスマホからご当地駅弁を頼むことができます。オーダーすると席まで持ってきてくれるので、とても良いサービスです。ただ、外国人のスマホは、通常決済アプリを導入してないので、同乗している中国人の知り合いに頼む必要があります。

➄車窓から見える景色が雄大

中国の高鉄の魅力は、何といっても広大な中国を感じられることです。都市と都市の間は、広大な畑や田んぼが広がり、駅が近づくと突然、大きな高層ビル群が現れます。また、長江などの大河を渡るときは、その川幅の広さに驚かされます。

長江を渡る高鉄

5. 中国高鉄座席クラス

日本の新幹線は、一般席、指定席、グリーン席の3クラスがありますが、中国の高鉄は4クラスに分かれています。

二等座(2等席):最も一般的で、コストパフォーマンスが高い座席です。座席の配置は3-2で、通路側と窓側の座席があります。リクライニング機能があり、比較的快適です。

一等座(1等席):2等席よりも広く、座席の配置は2-2です。リクライニング機能が強化されており、足元も広いです。ビジネス利用にも適しています。

商務座(ビジネスクラス席):最高級の座席で、1-2の配置です。フルフラットにできるリクライニングシートが装備されており非常に快適です。また乗客にはビジネスクラス専用のサービスが提供されます。

头等舱(プレミアム席)※一部の復興号のみ:ビジネスクラスと似た高級感のある座席ですが、さらに豪華な装備とプライバシーが提供されます。

6. 中国の高鉄で起きた事故

2011年7月23日午後8時34分頃、杭州駅発福州南駅行きの和諧号(CRH1B)が乗客1072名を乗せて走行中、落雷の影響で温州市双嶼近くの高架橋上のトンネル手前で停車していたところに、北方から走行して来た北京市北京南駅発の福州駅行きの和諧号(CRH2E)、乗客558名、が追突しました。

地元政府発表では40人が死亡し、200人以上が負傷し、中国高速鉄道の安全性に対する懸念が高まりまし大きなニュースとなりました。事故発生から数日後、中国政府は事故の犠牲者1人の遺族に対し50万元の賠償金の支払いを決定。また、中国中央テレビ(CCTV)では、政府は賠償手続きに合意すれば「数万元の奨励金の追加」も行うと発表し、一部遺族は既に手続きを済ませて賠償金を受け取ったと報じ、その金額について高い安いと話題となりました。

7. まとめ

中国の新幹線は、その技術と規模において世界でもトップクラスです。和諧号と復興号という2つのブランドが象徴するように、技術的な進化が続けられており、乗客に対する安全性と快適性も日々向上しています。中国の高速鉄道システムは、世界の鉄道業界において重要な位置を占める存在となっています。