通常の輸出手続きの流れ

日本から貨物を輸出する場合、原則として、まず管轄の税関長に対し、貨物の品名、数量、価格、仕向け地、仕向け人の名前、住所などを申告するがあります。
その後、税関の審査および検査を受け、貨物の輸出許可が頂けます。

これら一連の輸出通関手続きは、輸出者が行うものではなく、国際輸送を取り扱うフォワーダーや、輸出までの諸手続きを代行する海貨業者(かいかぎょうしゃ)や乙仲(おつなか)などの専門業者に委託します。
直接手続きをしないといっても、業者が税関に申告する内容は、輸出者が提出したインボイスやパッキングリストなどの書類がベースとなるので、あとあとトラブルにならないよう正しく記載しておく必要があります。

輸出申告価格について

税関に申告する価格は、輸出者が作成した仕入書(INVOICE)のFOB価格(本船渡し価格)になります。海上保険等が付保されている場合、保険料無しの価格で申告します。
尚、航空機で輸送する場合、それに準ずる条件で申告することになります。
有償であろうと無償であろうと、貨物価格の申告は必ず必要です。分からないからといっても省略はできません。

もし輸出時の貨物の価格が不明な時はどうすれば良いのでしょうか?

前段で、輸出貨物の価格申告は必ず必要と書きましたが、仕向け地の顧客が、実際の貨物の品質もしくは性能の確認後に正式な価格を決まるような場合は、輸出時における貨物代金が明確に記載できません。このような時は、以下のいずれかの暫定価格で輸出申告をします。

➀該当貨物の製造原価(または調達原価)に通常加える利潤と一般管理費および船積までにかかった諸経費を加えた価格。または、輸出後に仕向け地の顧客から値引き等がある場合は、調整が加わる前に顧客と合意した価格
➁輸出申告前3ケ月以内の該当貨物と同種又は類似の貨物の市況価格

輸出書類の保存義務はあるのか?またその場合の保存期間は?

法律上で、輸出者、輸入者ともに、帳簿、書類、電子データーの保存義務が課せられております。輸出者の場合は、該当貨物の輸出許可日の翌日から5年間保存が必要です。

関税法施行令 第八十三条8項
8  輸出者は、第二項において準用する第一項の帳簿(以下この項において単に「帳簿」という。)及び第四項の書類(第五項の規定により帳簿への記載を省略した場合における輸出の許可書を含む。)を整理し、輸出許可貨物の輸出の許可の日の翌日から五年間、輸出者の本店若しくは主たる事務所若しくは当該輸出許可貨物の輸出取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地又は輸出者の住所地に保存しなければならない。