中小製造業が海外事業をスタートするために必要なこと

一昔前までは、工業製品を海外で販売するには海外経験のある人材を雇用しないと難しものでした。しかし、海外とのコミュニケ―ションが簡単になった現代では、海外営業の経験がない小規模の企業でも、製品やサービスに競争力さえあれば海外ビジネスを行うことが出来ます。では、海外ビジネスを成功する為に必要な要素はなんでしょうか?それは、なんといっても海外営業を手伝ってくれる良いパートナー企業を見つけることです。

海外パートナを探す際の3つの確認ポイント

海外パートナーを探す前にまずやらないといけないのは、パートナーにどのような能力を求めるかよく考えることです。下記は特に重要になります。

1.自社の外国語対応能力

自社の人材が、外国語でどの程度までコミュニケーションできるか考えておく必要があります。技術系の製品の場合は、上手に話せなくてもメールであればコミュニケーションが取れる場合が多いです。もし、外国語の能力に不安を感じる場合は、日本語対が使える海外パートナーを探すか、日系の商社に依頼する必要があります。

2.商品タイプ

販売する商品によって、海外パートナーに求める能力は変わります。産業機械や装置など仕様打合せが必要となる商品を売るのであれば、技術が分かるパートナーが必要になります。また、規格化された商品を大量に販売したいのであれば、営業力が強い海外パートナーを探す必要があります。

3.サービス拠点

産業機械などは販売後に一年間のアフターサービス期間を設ける場合がほとんどです。頻繁にアフターサービスが必要な製品の場合は、客先工場の近くに拠点を持つパートナーを見つけないといけません。特に自動車や半導体業界の場合は、納入後のアフターサービスに対する要求が非常に高いため、パートナー選びを間違えると日本から頻繁に技術者を派遣せざるを得なくなり、最悪大きな損失を出す場合があります。

海外パートナーの探し方について

海外パートナーを探す方法はいろいろありますが、自社に合った方法を選択しないと無駄な時間とお金を費やすことになります。
動き出す前にまず最初に考えないといけないことは、自社に海外パートナの良し悪しを見極めて交渉できる能力があるか否かです。

1.自社に海外パートナの良し悪しを見極めて交渉で来る能力がある場合

1-1.公的機関に聞いてみる(商工会議所や在日外国機関の大使館商務部などに問い合わせる)

メリット
公的期間は、幅広い情報を持っているので思いもしなかった良い海外パートナーに出会えることがあります。また公的機関の紹介なので、インタネットの検索でよりも、しっかりした海外パートナーと出会える可能性が高いです。
デメリット:
公的機関は、基本的に実務支援はできません。よって、候補の海外パートナーには自分でコンタクトしなければいけません。自社の製品の特長などを正確に伝えれるように、事前にプレゼン資料などを用意しておく必要があります。

1-2. 業者名簿で探す(無料の企業データベースを使って調査する)

メリット:
KOMPASSなどは世界70カ国、480万社の企業情報をオンラインで提供しており、情報量がとても多いです。検索を上手に行えば、沢山の海外パートナー候補を見つけることができます。
デメリット:
データベースで入手できる企業情報は限られております。詳細は、実際に候補企業にコンタクトする必要があり、絞り込みにどうしても時間と手間が掛かります。
※KOMASS以外にも沢山のデータベースがあります。詳しくは国立国会図書館のリサーチ・ナビを参照ください。>>リサーチ・ナビのリンク

1-3.公的機関のサイトで広告掲載(ジェトロのTTPPなどでパートナーを募集する)

メリット:
自分の情報を幅広く世界に発信できます。運が良ければ優れたパートナーから直接問合せが入る場合があります。
デメリット:
玉石混合、問い合わせしてきた企業に対して、本当に仕事をしてくれるのか見極める能力が必要です。

1-4.自社で広告(自社の専用サイトを作成する)

メリット:
専用サイトを立ち上げる事で、直接ビジネスにつながる具体的な引合いが入って来るようになります。
デメリット:
サイト製作の知識が必要です。そして、サイト立上げには、サイト作成費以外にサーバー代金などの費用がかかります。また、海外からの問合せ対応ができる窓口を設置する必要があります。

1-5.国際展示会に自社製品を出展する(公的機関の助成金等を使って出展する)

メリット:
候補のパートナーと直接コミュニケーションが出来るので、その場で相手がどのような能力をを持った企業なのか情報収集が可能です。
デメリット:
国際展示会に出展するには、ブース代金の他に、展示会で配るカタログ代や交通費宿泊費等が掛かる為、ある程度の出費を覚悟する必要があります。

2.自社で直接海外パートナーと交渉し相手の能力を見極めることが出来ない場合

2-1.縁故をあたる(取引関係のある業者や知り合いに頼んでみる)

メリット:
縁故が紹介してくれる海外パートナーは、信頼できる場合が多いです。また経営者の人柄や業務スタイルなど内部情報も入手できるので安心して付き合うことができます。
デメリット:
縁故の海外パートナーは、紹介して下さった方との関係もあるので、問題が発生した時に、簡単に関係を断ち切れない場合があります。

2-2.日本の商社に持ち込んでみる(国際ビジネスをやっている国内商社に持ち込んでみる)

メリット:
貿易のプロである日本の商社は、代金回収能力が高く海外事業リスクを少なくできます。また、英語ができなくてもすべて引き受けてくれるので国内取引と変わらない感覚でビジネスが出来ます。
デメリット:
工業製品の場合は、通常10~30%の手数料がかかります(ものによってはそれ以上)。また、商社には得意な分野と地域があるので、最適な商社でないと売上が思ったように伸びない可能性もあります。また、お客様との直接コンタクトを嫌がる商社も多く、お客様の本当の声を聞きだせない場合があります。