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海外取引で大事な貿易条件インコタームズについて
海外との取引にあたっては、対象貨物の輸送費、保険、危険負担の範囲を明確にする必要があります。通常は、世界で統一解釈ができる国際商業会議所 (International Chamber of Commerce: ICC) のインコタームズ(INCOTERMS )を使います。
輸送費の負担範囲は貿易規則の名前を見れば推測できますが、危険負担の範囲は貿易をしている人ですら混乱している場合があります。今回は、その危険負担に絞って、それぞれの貿易規則を説明したいと思います。
尚、インコタームズの解釈は、時代に合わせて何度か見直しされており、今回は、最新のインコタームズ2010の定義を使います。
インコタームズ11項目の危険負担が移る地点について
EWXのリスク移転地点
EXW(Ex-Works:工場渡し条件)は、売主にとって最もリスクの少ない条件です。契約で取り決めた、会社、倉庫、工場に貨物を用意するだけで、運送人トラックへの積込み責任もありません。輸送リスクを一切負いたくない場合は、EXWを指定します。ただし、買主の立場になって考えると、相手国の施設まで運送人を手配し、保険も掛ける必要があり、負担の多さから嫌がられる場合があります。
FCA, CPT, CIPのリスク移転地点
FCA(Free Carrier:運送人渡し条件)、CPT(Carriage Paid To:輸送費込み条件)、CIP(Carriage and Insurance Paid To:輸送費保険込み条件)は、3つとも運送人渡しです。運送人に渡す場所は、通常コンテナヤードが多いですが、買主が了解すれば売主の施設でも問題ありません。ただし、売主の施設にした場合、EXWと異なりトラックに貨物を置くまでは売主のリスクです。高額な精密機器などの場合は、保険を掛ける必要があります。
FASのリスク移転地点
FAS(Free Alongside Ship)は、船側渡し条件と言います。通常の取引ではあまり使いませんが、積み地の港で本船の横に貨物を置くまでのリスクを負担します。貨物を船に積み込む責任はありません。
FOB, CFR, CIFのリスク移転地点
FOB (Free On Board:本船渡し条件)、CFR(Cost and Freight:運賃込み条件)、CIF(Cost, Insurance and Freight:運賃・保険料込み条件)は、どれも貨物を甲板に載せたとき、つまり、オンボードすればにリスクは買主に移転します。尚、FOB、CFR、CIFは海上輸送専用の条件で飛行機輸送では使いません。
DAT, DAP, DDPのリスク移転地点
DAT(Delivered At Terminal:ターミナル持込渡し)、DAP (Delivered At Place:仕向地持込渡し)、DDP (Delivered Duty Paid:仕向地持ち込み渡し・関税込み条件)は、売主にとって一番リスクが大きい条件です。契約で取り決めた買主の施設までの全てのリスクを引き受ける事になります。当然、海上貨物保険などを掛ける必要があります。