物やサービスの売買には、必ず売手と買手がいます。お互いが自分にとって最も良い条件で商売をしたいと思っており、いろいろな条件交渉や取り決めが必要になります。何度かやり取りを行い当事者同士で合意にいたればビジネスはスタートします。

しかし、言葉や文化が異なる者同士で商売をするとなると、予想外のトラブルが発生する場合がたまにあります。その場合どうすれば良いのでしょうか? 通常は、以下3つのステップで対応します。

海外取引先とのトラブルを解決する手順について

ステップ1 : まずは当事者同士で解決をめざします

トラブルが発生した時は、やはり当事者同士で解決するのが一番良い方法です。一見難しいと思える事も、穏やかに誠意をもって対応していれば、妥協点は見つかるものです。大事なのは、喧嘩腰にならない事です。

海外企業は、ストレートに自分の主張をしてくる事があり身勝手な言い方に腹を立てて、相手が日本語分からないと思ってつい暴言を吐いてしまう日本人がいますが、話せなくても聞き取りが出来る外国の人はたくさんいますので是非注意して欲しいです。

交渉にあたっては、たとえ相手に100%非があったとしても、追い詰めずに逃げ場を残しておくことが商売としては理想です。特にアジア人は面子を大事にする傾向が強いので、ことを荒立てずに恩を着せる方法も逆に絆が深まり将来のビジネスに繋がることがあります。台湾の鴻海精密のように10数年前までは無名だった企業が、シャープを買収するような世界的大企業になることもあります。目先の損得よりも長期的な商売としての視点を持っておく必要があります。

ステップ2: 第三者に入ってもらい斡旋または調停をしてもらいます

当事者同士の話し合いでは解決できない場合は、公正な判断ができる第三者に入ってもらい斡旋(あっせん)や調停(ちょうてい)をしてもらいます。
当事者とは異なる視点でトラブルの解決策を見出してくれるので、直接話すよりは感情的にならずに済みます。第三者の候補としては、当事者同士を知っている企業や人物の方がベストですが、良い候補が見つからない場合は、取引銀行や近くの商工会議所などに相談することもお勧めします。
尚、この斡旋や調停で取り込めた合意事項には法的拘束力はありません。しかしながら、当事者の両方を理解している第三者に入ってもらえば、無下に合意事項を無視するわけにはいかなくなるので、かなり有効です。

ステップ3:法的拘束力のある第三者に判断を任せます。

当事者が選んだ仲裁人や仲裁機関(会や国際商工会議所)などに一任してトラブル解決してもらうか、日本または相手国の裁判所に訴訟を提起して判決を求めます。仲裁や訴訟など第三者に判断を任せる方法は、どちらが勝っても当事者同士にしこりが残るものです。よって、相手との関係を断ち切る覚悟が必要です。
尚、仲裁は非公開で上訴もありませんが、裁判所への訴訟になると判決まで時間がかかる場合があり、競合メーカーなどを通じて市場で悪い噂やデマが流れる事もあります。裁判は出来るだけ行わず仲裁で解決するのが得策です。