米国トランプ大統領によって火ぶたが切られた、米中貿易戦争は収束するどころか増々激化しています。
米商務省は、2019年5月15日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)と関連企業68社を禁輸措置対象のリスト(Entity List)に追加したことを発表しました。
これにより米国企業は、米政府の許可なしにファーウェイとそのグループ企業に直接製品や技術を提供することができなくなるだけでなく、日本など海外諸国を経由した間接ビジネスも原則禁止されます。
ファーウェイは、自社製品であるスマートフォンやネットワーク機器に、インテルやクアルコムなど多くの米国製電子部品を使用しています。
ロイター通信の報道によると、ファーウェイが2018年に調達した米国製部品の総額は、約110億ドル(日本円で1兆2100億円)であり、これは同社の全調達額の15.7%に相当します。
米国からの制裁の可能性を感じていたファーウェイは、規制される前に米国製部品の在庫積み増しを進めていた模様ですが、米国製部品の大部分は、製品性能を大きく左右する基幹部品であり、制裁が長引けばファーウェイの事業に大きな影響をあたえることになります。
華為技術(ファーウェイ)ってどんな会社?
正式名称は、ファーウェイ・テクノロジーズ(中国名:华为技术有限公司、英語名: Huawei Technologies Co., Ltd.)といいます。
本社は深センで設立は1987年。創業当初は、小型の電話交換機や火災報知器などの製造を行っていましたが、通信機器事業に参入後一挙に事業を拡大させ、2018年のスマートフォン出荷台数で世界第2位(トップは韓国Samsung)になりました。
2018年の売上高は、7210億元(約11兆5000億円)です。これは、日本を代表する自動車メーカー日産自動車の同年売上高(約11兆5742億円)とほぼ同じです。
現CEOの任正非(Rén Zhèngfēi)は人民解放軍の出身であり2018年フォーブス誌の中国富豪リスト83位となりました。2018年12月1日カナダで逮捕されたCFO孟晩舟(Mèng Wǎnzhōu)は、任正非CEOの娘です。※離婚した妻の姓である孟を名乗っています。
禁輸対象となったファーウェイのグループ企業一覧
今回米国が禁輸対象としたファーウェイの関連企業は、中国以外のグループ企業も多数含んでおり、日本を含めて26の国と地域に跨っています。
リストに掲載されたグループ企業のほとんどは、Huawei という名前が入っていますが、一部、Huaweiという名前が入ってない企業も含まれています。
リストの中で特に目を引くのは、HiSilicon(海思半導体・ハイシリコン)が含まれていることです。
HiSiliconはファーウェイ製品のコア部品である半導体を製造するために設立された企業であり、ファーウェイにとって最も重要なグループ企業の一つです。
しかし、禁輸対象となった以上、HiSiliconは米国から機械設備だけでなく最先端技術の供与も受けれなくなります。
EL原文を確認したい方は、米国商務省安全保障局(Bureau of Industry and Security: BIS))のサイトからELリストをダウンロードできます。
米国商務省産業安全保障局のサイトへのリンク