断食月ラマダン(ラマダーン)が始まりました。
日本で仕事をしているアラブ人のビジネスパートナーから電話あり、イスラム教徒の断食月『ラマダン』が始まったので、5月の打合せを夜に変更したいとのこと。
ラマダン期間中、イスラム教徒は、太陽が出てから沈むまでの時間、飲食が禁止されます。水ももちろん飲んではいけません。
よって、昼間に喫茶店でお茶を飲みながらの打合せができないのです。
大変ですねえと伝えると、明るい声で、『ラマダンは、健康にとっても非常に良いんですよ!』とのこと。
ちなみに2018年のラマダンは、5月15日(火)の新月から始まり、次の新月である6月14日(木)まで1カ月間行われます。
もし、イスラム教徒の人達とお仕事をしている場合は、覚えておく必要があります。
中国のイスラム教事情
日本人にとって中国は、仏教や儒教のイメージが強いですが、イスラム教徒もたくさん暮らしています。
では、イスラム教は、中国にいつ頃入って来ってきたのでしょうか?また、イスラム教徒は、何人いるのでしょうか?
イスラム教の中国伝来時期
イスラム教は、7世紀初頭(西暦610年頃)のアラビア半島で、ムハンマドによって始まりました。
その後、イスラム教は、急速に広がっていき、中国には、7世紀半ばころに伝わったと言われております。
中国では、イスラム教の呼び方が何度も変わっており、宋、元は「大食教」、明は「天方教」あるいは「回回教」、明末から清は「清真教」、中華民国(1912年―1949年)では「回教」と呼ばれてました。
1956年になって漸く現在の「伊斯兰教」という呼び方に統一されました。
中国のイスラム教徒民族
中国には、人口の9割以上を占める漢民族の他に55もの少数民族が暮らしています。
その内、下記の10民族は、大部分がイスラム教徒です。
ホウェイ族(回族)
ウイグル族(維吾爾族)
カザフ族(哈薩克族)
ドンシャン族(東郷族)
キルギス族(柯爾克孜族)
サラール族(撒拉族)
タジク族(塔吉克族)
ウズベク族(烏孜別克族)
バオアン族(保安族)
タタール族(塔塔爾族)
中国にイスラム教徒は、何人いるの?
宋、元、明、清など1000年以上の時代を経て、現在の中国には、約2000~3000万人のイスラム教徒が暮らしていると言われております。これは、中国全人口の約1.5%~2.2%に相当します。
イスラム教徒は、中国全国に散らばっていますが、新疆ウイグル自治区、寧夏回族自治区、甘粛省、青海省、河南省、陝西省、河北省、雲南省、山東省、山西省、安徽省、北京、天津などの地域に多く住んでいます。
イスラム教は、シルクロードを通じて中国まで伝わりましたが、海を隔てた日本には届きませんでした。よって、日本人のイスラム教徒は、非常に少なく、日本に住んでいる外国人イスラム教徒を含めても10万~20万人だと言われております。これは、日本全人口の約0.08%~0.15%です。このことから中国にくらべて日本は、イスラム教に馴染みが薄いと言えます。
アラブのイスラム教徒が教えてくれたラマダン(断食月)とは?
ラマダンとは、イスラム教の暦(ヒジュラ暦)の9月のことです。英語では、Ramazan。中国語では、斋月(zhāi yuè)と書きます。
ラマダンの期間中、イスラム教徒(ムスリム)は、日の出から日没まで、飲食を断ちます。水も飲みません。
熱中症になったらどうするのか心配になりますが、体調がすぐれない場合は、水を飲んでもかまわないそうです。
断食は、あくまで本人のために行うものであり、自身の健康を害するような断食は、本来の教えと反するとの事。
また、この期間は、肉体だけでなく精神も清めるため、人の悪口なども言ってはいけません。
アラブの国では、ラマダン期間には、日が暮れてから朝まで営業するレストランが出るらしく賑わうそうです。
一日一回の夜の食事で暴飲暴食するイスラム教徒もいるそうですが、敬虔なイスラム教徒からすると、断食の目的は、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育むために行うのであって解釈を間違えているそうです。
ラマダンが明けた翌日は、まず先祖のお墓参りに行くそうです。その後は、みんな新しい服を着て家族で愉快に過ごします。
街は、一週間お祭りモードで露店や仮設遊園地や動物園が出ます。子供たちは親せきからお金やプレゼントをもらいます。
日本でいう、クリスマスとお正月が同時に来たようなイメージなのかもしれません。
以上