中国は製造業の大国です。

2017年における中国の国内総生産(GDP)は、82兆7,122億元(約1,424兆円)でした。内訳を見ると、もっとも規模が大きいのが製造業でその生産額は、24兆2707億元(約418兆円)もあります。これは中国GDP全体の29.34%にあたります。

次に大きな産業は、卸売・小売業です。しかし、その規模は、トップである製造業の3分の1しかなく、生産額は7兆7,744億元(約134兆円)で中国GDP全体の9.4%です。

この数字を見るかぎり、製造業は長期的にみても中国の基幹産業であり続けると思われます。

ちなみに、モノづくりの国と言っている日本ですが、GDPに対する製造業の割合は、約20%しかなく、中国の29.34%よりも低いです。

2017年、中国製造業で最も成長したトップ6業界

中国国家統計局の工業司長の報告によると、2017年に最も成長した中国製造業トップ6業界は、以下の通りです。これらの業界は、すべて前年度比30%以上も成長しました。

急激に伸びた製造業トップ6業界

対前年比成長率
第1位:産業ロボット68.1 %
第2位:ドローン67.0 %
第3位:新エネルギー車51.1 %
第4位:都市鉄道車両40.1 %
第5位:リチウムイオン電池31.3 %
第6位:太陽電池等30.6 %

産業ロボットの分野の成長率がダントツ1位であり、大規模な技術突破を実現

2017年の中国の産業ロボット業界は、爆発的といっても過言でないほど急成長しました。これまで中国国産の産業ロボット生産量は、2015年68,500台、2016年72,260台と低迷しておりましたが、2017年についに開花し記録的な成長を実現しました。国家統計局のデータによると2017年1~11月における中国国産産業ロボットの生産量は、すでに118,000台(前年比68.80 %増)に達しており、年間生産量は12~13万台になると予想されてます。

中国の産業ロボット専業メーカーの動向

2017年における中国の専業産業ロボットメーカーの生産量は、各社とも1000~3000台です。

上海時達機器(Shanghai STEP Robotics Corporation)

2017年に1,600台のロボットを生産し、100%の成長率を達成する予定。

広州数控設備有限公司(GSK CNC EQUIPMENT)

広州数控設備は、もともとCNC工作設備メーカーでしたが、ロボット事業も急速に成長しており、これまで数百台レベルの出荷台数であったのが2017年に1,000台の大台を越え急増しました。

安徽埃夫特智能装備有限公司(ANHUI EFORT INTELLIGENT EQUIPMENT)

安徽埃夫特智能装備は、驚くべき速さで成長しており、2015年のロボット生産量は1,200台、2016年に1,800台であったのが、2017年の推定値は3000台に近づいています。なお同社の2018年の生産目標台数は4000台です。

中国の専業ロボットメーカーの経営情報

瀋陽新松機器人自動化股份有限公司(Shenyang SIASUN robot)

瀋陽新松の2017年における第3四半期までの営業売上は16.77億元(約289億円)で、前年度比34.61 %増加、純利益は2.74億元(約47億円)で、前年度比10.16%増加。売上高純利益率は約16%。

南京埃斯頓自動化股份有限公司(Estun Automation)

南京埃斯頓の2017年のおける第3四半期までの営業売上は6.65億元(約115億円)で、前年度比49.8 %増加し、株主純利益は5,891万元(約10億円)で前年度比47.07 %増加しました。売上高純利益率8.8%。

蘇州汇川技術有限公司( Inovance technology)

汇川技术の2017年のおける第3四半期までの営業売上は31.3億元(約539億円)で、前年度比27.57 %増加し、純利益は、7.23億元(約124億円)で前年度比5.03 %増加しました。売上高純利益率は約23%。

広東拓斯達科技股份有限公司(Guangdong Topstar Technology)

新興企業である広東拓斯達科技の2017年通期の営業売上は、7.64億元(約132億円)で、前年度比76.51%増加し、純利益は、1.38億元(約24億円)で前年度比77.93%増加しました。売上高純利益率は約18%。

大手企業の産業ロボット参入により戦国時代に突入

純粋な専業ロボットメーカーの他に、中国の大手3社も産業ロボットに参入しました。一社は、日本でも有名な富士康科技集团(FOXCONN)です。その他のメーカーは、珠海格力電器股份有限公司(GREE ELECTRIC APPLIANCES)、そして美的集団股份有限公司(MIDEA GROUP)です。

富士康科技(FOXCONN)は、Foxbotと呼ばれる内製の産業ロボットを製造しており、既に自社工場で大規模に使用してます。なお、産業ロボットの製造拠点は、山西省晋城にあります。

2016年の公開報道によると、富士康科技(FOXCONN)はすでに4万台を超えるFoxbotを自社工場に配備しており、2017年の内製産業ロボット生産量は1万台前後と推定されております。富士康科技(FOXCONN)は、ロボットの対外販売は行ってませんが、事実上すでに中国最大の産業ロボットメーカーと言えます。

格力電器(GREE)傘下の珠海格力智能装備有限公司の産業ロボットも急激に成長しています。

財務報告書によると、2017年上半期の格力智能装備の営業売上は、9.62億元(約166億円)であり、前年度比2,765.27 %も増加しました。この売上額には、産業ロボットだけでなくNC工作機械などの他機器の額も含まれておりますが、格力智能装備の従業員は、すでに1200人を超えると言われており、ロボット本体の加工、組み立てだけでなく、減速機などのコア部品の製造も行っています。

美的集団(MIDEA)は、庫卡機器人有限公司(KUKA ROBOT)を買収しロボット産業に本格参入。2017年に中国市場で急成長しました。

富士康科技(FOXCONN)、格力電器(GREE)、美的集団(MIDEA)の大手三社が産業ロボットに参入した主目的は自社工場の改造と発展のためです。しかし、いずれは本格的に外販していくと予想されており、体力が少ない小規模の専業ロボットメーカーにとっては、大きな圧力となっております。

国家をあげて技術力を高めている中国の産業ロボットメーカー

中国の産業ロボットメーカーは、まだ組立調整が中心であり、産業ロボット製造で中核となる3つの部品、➀減速機、➁サーボモータ ➂コントローラは、そのほとんどを日本など海外からの輸入に依存しています。

2016年に中国政府より発表された「ロボット産業発展計画(2016-2020年)」によると、これら3つの中核部品に対して、国産化を進める方針が掲げられており、2020年までに6軸及び以上の産業機器用で国産中核部品の市場占有率を50%以上にするように求めております。

日本の産業ロボット用部品メーカー各社は、これまでのように、市場優位性を保つことが難しくなっております。

情報参照元:宁南山『2017年中国制造业发展简析』より