海外から電子部品を輸入して販売したいが、もし製品欠陥で利用者が怪我をしたら責任はどうなるの?
一昔前まで電子部品の海外調達は、現地に行って直接交渉する必要がありました。
しかし、インタネットと国際物流の発達が発達した現代では、日本にいながら海外のメーカーにコンタクトし、必要な製品の画像・仕様・サンプルなどを確認できるようになり、わざわざ海外に行かなくても、輸入ビジネスが出来るようになりました。
その一方で海外メーカーの製造体制や品質管理について相手の話を鵜吞みしてしまい、輸入販売後に思わぬ品質トラブルに巻き込まれる場合もあります。
では、実際にトラブルが発生するとどうなるのでしょうか?
例えば、
国内の家電メーカーから依頼を受けて、海外から輸入して納入した製品に欠陥があり、利用者にケガをさせてしまったとします。
この場合、ケガをした利用者に対して責任を負うのは誰だと思いますか?
通常は、最終製品を製造し利用者に販売している家電メーカーになります。損害賠償金が発生する場合は、その家電メーカーが加入しているPL保険(生産物賠償責任保険)の保険会社から被害者に支払われます。
ここで注意してほしいのは、保険会社も出来るだけ支払額を減らしたいという思いがあり、事故原因によっては電子部品の製造業者に対して賠償金の一部負担を求めてくるということです。
自分は海外から買ってきただけ。電子部品の製造業者ではないから関係ないと考えてはいけません。
何故なら、法律上は、製造業者を『製造物を業として製造、加工又は輸入した者』と定義しており、外国から部材を輸入して販売していれば、製造や加工をしていなくても、訴えられる可能性があるからです。
この法律は、製造物責任法と呼ばれており、輸入販売をやっている人でも知らない人がいます。10分もあれば読める短い法律なので、必ず一度は見ておきましょう。もし、どうしても時間がない人は、せめて第二条だけでも読んでおくことをお勧めします。
※リンクURL:製造物責任法
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
どのくらいの期間リスクを負うの?
輸入者もリスクを負っている事は理解できたとして、次に気になるのは、どれくらいの期間責任を負うかです。
同法第5条によると、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間または、製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年となっております。
つまり、輸入販売して何年か経ってから訴えが来る可能性もゼロではないということです。
このブログを読んで、心配を感じる方は、弁護士など専門家に相談して、PL保険に入るべきか?それともPL保険に入らずに契約で責任を逃れる方法があるか?などを聞いてみましょう。最近は、公的機関の法律相談サービスが充実しており、無料または格安で利用できます。
因みに、
中小企業がPL保険に入る場合は、日本商工会議の中小企業PL保険制度を使うと安くなる場合があります。
※リンクURL:中小企業PL保険制度